剣戟はる駒座お芝居「慌て烏の子守唄」

2013.4.13夜の部@篠原演芸場

書きたい記事は溜まっているのに、嗚呼日々降り注ぐお仕事お仕事…
でも、今のはる駒座のきらめきは今書き残しておかないと。

「慌て烏の子守唄」は、慌て者の代貸し・安さん(津川竜座長)のお話。

写真・津川竜座長(4/13舞踊ショーより)


安さんの音が詰まったような喋り方が実にユーモラス!
旅の道中、雨に降られて飛び込んだうどん屋で、注文に一つにも四苦八苦。
「は、は、は…」
「は…?」
注文を聞きとる女将(千晃ららさん)も戸惑い気味だ。
「はん、ぶ、ん」
安さんは目を白黒させ、手ぶり交えて一生懸命。
しばらく時がかかってから、ようやく女将さんも理解する。
「つゆも半分、麺も半分、だから十六文のうどんを八文で半分くれと…ああ、いいですよ」
嬉々として倹約したうどんにありつく安さん。
本物のうどんを啜る、竜座長のにんまりした笑顔が可愛い場面(しかしはる駒座は舞台上で本当に物を食べる芝居が多いなぁ)。

ところが思わぬ事態が起きる。
うどん屋の旦那さん(不動倭さん)は、元々ヤクザの大五郎一家の若衆だった。
足を洗ったはずの悪縁に巻き込まれ、旦那さんも女将さんも大五郎(勝龍治さん)率いる一家に殺されてしまう。

息絶える直前、女将さんは安さんに必死に取りすがる。
「主人は死にました、そして私ももう死にます、お客さんしかお願いできる人がいないのです」
血に染まったうどん屋に、おぎゃあと響く泣き声。
託されたのは、まさかまだ赤ん坊の男の子!

「私の妹が、女ながらヤクザをしております。名は稲妻のおしん。妹にこの子を預けてほしいのです」
「妹が今どこにいるか…それはわかりません」

たまたま八文で半分のうどんを食べていたばっかりに。
一体日本のどこにいるかわからないという、雲をつかむような人を目指して。
安さんは赤ん坊を背負い、でんでん太鼓を振りながら旅をするはめになったのだ。

幕が閉じて再び開けば、物語は転調。
焦点は安さんの所属する白木屋一家へ移る。

白木屋一家の親分は既に亡くなっており、ドンは女将さん(晃大洋さん)。
肝のすわった女将さんは、大五郎一家のイカサマ博打を咎めて追われていた稲妻のおしん(津川鶫汀さん)を庇う。
それがきっかけで女将さんまでも大五郎に斬られる。
一家に帰って来た安さんは弔い合戦に出向き、そこからはシリアスな剣劇モードへ!

…なのだけど。
「ドス、は、駄目。こいつ、か、刀は、嫌がる」
安さんの言葉を懸命に拾うような喋り方。
旅姿の上からぐるぐる巻きつけられたおんぶ紐。
そして赤ん坊は背中でほんぎゃあ。

そんなパーツがいい具合に緩みを与えてくれて。
一切殺伐とした空気にならないのだな。

この後半は、私がはる駒座のお芝居の中でも特に好きな見所が、きらきらしく散りばめられていた。
最初にはる駒座に惚れこんだきっかけ・龍治さんの親分役、
ぐいぐい惹きつけられてやまない小虎さんの悪役(大五郎一家の若衆)、
年齢不詳の艶やかな紅・鶫汀さんの女形芝居、
などなど。
なので観劇中、楽しくて仕方なかったのだけれど。

一段と輝いていたキャラクターを一人挙げると、白木屋一家のお嬢さん(叶夕晏さん)でした。

写真・叶夕晏さん(4/13舞踊ショーより)


お嬢さんは一家の三下・政吉(津川隼さん)と恋仲。
「ねえ、あたしたちのこと、いつおっかさんに話してくれるのよ?」
「いずれ話すいずれ話すって、そんなの待ってたらあたしおばあちゃんになっちゃうわ」
箱入り娘っぽく、我がままで気が強くって自分の気持ちに正直。
母親である女将さんにも、
「お前みたいな気の強い女を好きになってくれる、物好きが近くにいて良かったね…」
と呆れたように言われるほど。
焼きもち焼きで、隼さん演じる政吉が稲妻のおしんの手を取ろうものなら、
「イヤー!!」
と甲高く悲鳴を上げる。
フンっと拗ねた表情丸出しでおしんを見つめ、
「政吉は行かないで!あたしが案内するわ」

晏さんのキャンキャンした演技の可愛いこと可愛いこと。
私はボンボン・お嬢さんキャラというか、<大事に育てられたがゆえ世間知らずで我がまま、でも根は素直>みたいなキャラクターに目がないのです。
篠原演芸場の座椅子の上で悶えつつ、幕間では隣の観劇仲間と「お嬢さん可愛い!お嬢さん!」とほくほくしてました。

はる駒座はいつも大役を張る役者さんもそうでない役者さんも、
皆上手くて、皆にほうっと目を見張ってしまう。
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