剣戟はる駒座お芝居「七福神」

2013.3.8 夜の部@浅草木馬館

季節はいつの間にか、梅の花が見頃。
でも、このお芝居は是非今年の松の内に観たかったなぁ。
だって日本のお正月の楽しさ、賑やかさが満開に花開いたような話なんだもの!

写真・津川竜座長(3/8舞踊ショーより)


津川竜座長が演じるのは、縁起かつぎが大好きな呉服屋、その名も「かつぎ屋」の旦那。
縁起願かけ盛りだくさんの年初め、旦那のかつぎっぷりは神経質なまで。
必ず右から履くと決めている履物を、奉公人に左足から差し出されれば一気に不機嫌。
お宝売り(津川祀武憙さん)が「一枚四文(しもん)です」と言えば、
「四=死」ととらえて、むっつり黙りこむ。
ううむ、正直かなり、めんどい。

奉公人の八兵衛(津川鶫汀さん)に、和歌を添えて水を取ってきておくれと頼んだところ。
教えた和歌を八兵衛が全く間違って覚えていたものだから、ああ大変。
「荷物をまとめて出て行きなさい。お前はもうここには置いておけない」
クビ!
和歌を間違ったくらいでクビ!

「なんとか置いてもらえませんか」と八兵衛に泣きつかれたのが番頭さん(勝小虎さん)。
長く働いている番頭さんも、旦那の扱いにはいつも頭を悩ませている。
場を取り成そうとするも、
「番頭さん、そもそもあんたの奉公人の教育にも責任があるんじゃあないかい…」
と旦那の怒りの矛先を向けられて、今度は自分の身が危うくなる。

「苦労重ねて、かつぎ屋の番頭まで登りつめたんや」
「悪いけどな、これ以上お前を庇ったらこっちが危ないわ…」

中間管理職の悲哀がにじむ番頭さん、このお芝居ではわりかし最初から最後まで出ずっぱり。
小虎さんの苦労人の演技が、とっても良い味出してました!

それからいま一人忘れられないのが、晃大洋さん演じる棺桶屋さん。
「ええやん、どうせ正月は店休みやん、茶ぐらい出してや~」
と、古なじみのかつぎ屋の旦那のところに押しかける。

「正月から縁起の悪い棺桶屋なんかに会いとうないわ…」
と言う旦那の渋面も気にせず、ずいずいと自論を展開。
「わしはこの棺桶屋ちゅう仕事に誇りもっとるで」
「みんな生きとる人はいずれ死ぬやん、あんたもわしもみんな死ぬやん、だから今年もしっかり死んでくれて、良い年になったらええなぁ、思うとるんよ」

とんでもないことを語りながら、バッと開いた着物の袖には。
白抜きの文字で「死にかけ募集中」!

いやぁ笑った。
洋さんのお芝居のテンポはきゅるきゅると速く、巧みなセリフ回しを聴くうち、いつの間にかすっかり心を巻き込まれている。

旦那、番頭さん、棺桶屋さん、八兵衛、お宝売り、たくさんの奉公人たち。
「ちょっと困った人ながら憎めない」キャラクターが揃って、ぎゅぎゅっと詰め込まれた喜劇。
色とりどりのおせち料理を目の前にした気分!

いつか、はる駒座がお正月にお江戸へ来ることがあったら。
この嬉しい楽しいお芝居と一緒に、新しい年神様をお迎えしたいものです。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)