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万年筆とクレヨン ―劇団美松の兄弟座長の話―

兄は美しく弟はキュート。少女漫画から飛び出したようなご兄弟🌹
11月の3連休中日、篠原演芸場はほぼ満席だった。


兄・松川小祐司(まつかわ・こゆうじ)座長26歳。

DSC_0448 - コピー
弟・松川翔也(まつかわ・しょうや)座長25歳。

「関東の座長さんの中でもおそらく最年少の僕たちです。未熟な面もたくさんありますが、若い力で一生懸命頑張ってます!」(翔也座長の口上より)

客席の両端には翔也座長の誕生日に贈られたらしい、カラフルなバルーンがぷかぷか浮かんでいる。篠原の名物おにぎり🍙(たらこ味)をいただきながら、2階席から観ていた。
元気な肉体が跳んだり跳ねたり、お客さんにズイッと指差ししたり、遠くの席まで手を振ってアピールしたり。今日の客席を満足させるんだ!という心がいっぱいにあふれていた。

美松さんの兄弟座長は、たとえるなら万年筆とクレヨンみたいだなぁ…と思う。

無題
翔也座長(左)・小祐司座長(右)

小祐司さんは全員を率いる立場のためなのか、張りつめていて、鋭いペン先に似ている。芝居してても古典で踊ってても、軽めのポップスで踊っていてすら、その姿はきりきりスラリ――怜悧な美の持ち主だ。
対して翔也さんは人懐っこそうで、声が大きくて明るい。にぱっと笑った顔に子どもみたいな愛嬌がある。クレヨンで画用紙に描くみたいな、大らかで自由な舞台ぶりだ。
兄弟姉妹はみんな個性があるといえど、ここまで真逆の持ち味だと面白い。

思い出すのは今年の7/15、炎暑の中の『団七九郎兵衛』。浅草木馬館の舞台の上で、団七=小祐司さんがザバァーッ!と水をかぶる場面は目にも涼しかった。
見せ場中の見せ場なので「座長―っ!」「松川―!」のハンチョウが飛んだ。拍手の中で団七の表情を見ると、恍惚とした顔つきで上を見つめていたのにゾクゾクした。義父を殺めた直後の興奮状態という場面の異常性が、小祐司さんの鋭い切っ先と絡んで、日常の世界からヒュッと飛び出していった。

打って変わって。
11/24、寒さ厳しい日の『俵星玄蕃』
蕎麦屋をしている杉野十平次=翔也座長の何気ない場面には、素直な役柄が見えてホッコリした。
十平次は知り合ったばかりの俵星玄蕃の妹(朝妃夢葉さん)に、そば代として簪をもらったものの気持ちが引けて、後日こんなやり取りをする。
「あの簪、ずいぶん高値で売れましたよ。余った金ですから取っておいてください(お金を差し出す)」
「えっ?以前、あれを売ろうとしたことがあるのですが、大した金子にはならなかったはず」
と不思議がられ、しまったとバツの悪そうな顔になる十平次。か、可愛い…(笑)。無邪気に描かれた役の色合いが、心にやさしかった。

「本当に毎日出し物替えて、若いとはいえ、倒れるんじゃないかって」
7月の木馬館公演のとき、壁にぴかぴかと貼られていた、全日(!)昼夜替えの特選狂言。心配そうに話していた人がいた。
古典ものからファンタジーまで、ザ・企画力!という感じの練られた貼り出し。太夫元のお母さんの力をベースに、26歳と25歳が上を目指してまっしぐらだ。

“応援して下さるお客様との一体感、それが何より大事なことだと、誕生日公演を通して感じたんです” (松川小祐司座長・『KANGEKI』2018年5月号インタビュー)

きっとこの劇団さんは、今、高い所へ昇っている真っ最中なんだな…。
どの役者さんにもそういう時期があって、ちょうどそのクレッシェンドの最中に観られていることは貴重だったと後から思うのかもしれない。
あ、美松さんが『俵星』やるんだったら観たいな、と足を運びたくなったのは、その急突進ぶりに気づいたら巻き込まれていたような気もする。

ところで昔は兄弟で座をやっていると、ライバル意識がバチバチで、そのうち片方が独立することも多かったようだけど…。

“基本はお兄ちゃんを先頭にして、僕がサポートできるようにしています”(松川翔也座長・『KANGEKI』同号)

今の時代のいいところ。
いつまでもソフトに、なかよしに。
このお二人は、ずっと一緒にやっていっていただきたいな。

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7/7 浅草木馬館 七夕にちなんだ姿で。

タッチの違うペンがふたつ、線を重ねながら進んでいく。
どんな絵になるんだろう。
どんな道になるんだろう。

すっと涼しい兄の目の隣、くるんと大きな弟の目がのぞく。


松川小祐司座長・松川翔也座長について、ライターの「暮れ六つエモーション」さんが最新インタビューを書かれています。両座長のキャラの違いが面白いので、ぜひご一読を⇒松川小祐司☆松川翔也(劇団美松)に聞く~「オレ座長だけど何か質問ある?平成世代の旅役者すっぴんインタビュー」第2回

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