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まな美座・変わらないもの ―9月の思い出から―

「座長というのはなんだか偉いような響きですが、実際は雑用係です」
4年前、初めて観た島崎寿恵さんは口上でそんな話をされていた。
「照明から道具、舞台のすみずみまで把握して、その全部ができなくちゃいけない。それが座長です。ふふ(笑)」
愛嬌のある目をぱちぱちして客席を覗き込む。ドロッと濃色な芸風に反して、ほがらかな人柄が心に沁みた。
2014年4月、まな美座に出会ったときのことだ。埼玉県熊谷市の今は無き「メヌマラドン温泉」(2017年末閉館)だった。

先月、もう一度埼玉のセンターにて、ホッコリしたまな美座の空気を味わうことができて、好きだったメヌマを思い出した。

本題の前に、まず先月のブログ更新0の言い訳(遅筆なだけ)。
旅芝居専門誌『KANGEKI』では毎月執筆させていただいてて、WEBメディアSPICEの取材記事ももうすぐ出ます。ブログのほうがなかなか追い付きませんが、よかったらまた見てやってくださいね٩(ˊᗜˋ*)و

さて、まな美座の皆さんを観るため初めて行ったのは、埼玉県・越生(おごせ)にあるニューサンピア越生。


9/1 ラストショーより。

写真がもう多世代!な感じ。
まな美座のメンバーは、
・総座長 島崎寿恵さん
・(息子)二代目座長 市村新さん
・(息子)若座長 里美剣次郎さん
そして新さんと剣次郎さんそれぞれのお連れ合いと子どもたち、そんな三世代ファミリー劇団。

9月のニューサンピア越生のお客さんの中には、メヌマラドン時代の埼玉在住の顔ぶれもあったらしい。送り出しでは「やっと埼玉ね」「待ってたのよ」と寿恵さんや剣次郎さんに話しかけている人たちの、懐かしそうな顔があった。
閉館で「場」がなくなっても、劇団が続く限り、訪れてくれる限り、また集うことができる…と一人勝手にしんみりしていた。

そして「待ってた」埼玉の人々に応えるように、舞台はグンと充実していたのだ。

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9/1 里見剣次郎若座長 
剣次郎さんの女形はとかく蠱惑的!体が「ひょい」って曲線を作るのが心地よくて、ずっと見ていられる系の舞踊。

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9/1 市村新二代目座長
歌いながら全員に握手して回る新さん。ほのぼの~。客席からとっても愛されていた。

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9/1 島崎寿恵総座長
船に乗ってついていきたかった人がいたけれど、追う途中、つまずいて足を止めてしまう――何か切れるような思いの舞踊だった。

お芝居のほうは、9/1が初日っぽく明るい演目だったので、ガッツリ芝居をおかわりしたいなーと思っていたら、剣次郎さんのツイッターに「明日は団七」という文を見かけて即、翌日9/8に再訪。
『団七九郎兵衛』は清く心正しい息子・団七(剣次郎さん)と、欲深い義父・九郎兵衛(寿恵さん)の対比が鮮烈なお芝居だった。しかも団七はすっきりと白く塗り、九郎兵衛はあえて黒ずんだ肌にしているので、<白=善><黒=悪>というのがビジュアル的に前面に出てくるのが面白い。
二人がもみ合い、ついに九郎兵衛を殺す場面。剣次郎さんが、すとーん!と見事に腰を落として叫ぶ。
「これから先の団七は、南無阿弥陀仏の六文字抱いて、生涯供養をしていきますぜ!」
舞台は決して大きくないのに、血沸き肉躍るスペクタクルの快感があった。

この日の終演後、寿恵さんが一人ずつ名前を呼んでメンバーを紹介していった。
「夢金太郎、夢魅音、媛野瑚白、媛野瑚南、媛野瑚心!」
小さな体でめいっぱい頑張っていた、子役さんたち。呼ばれた順に客席通路に降り、送り出しの場所に向かって足早に駆けていく。
「若座長、里見剣次郎!二代目座長、市村新!」
劇団を支える二人の息子さんも順に一礼して、はけていった。寿恵さんがひとり、舞台に残る。
「そして…」
総座長はニッコリ笑った。

「――雑用係、島崎寿恵でございます」
変わらない「人」が、変わらない「場」をつくってくれる。

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9/8 島崎寿恵総座長 ほがらかな笑顔

観劇歴もほんのちょっとだけ長くなってきて(といってもまだ6年)。
すでに思い出ぽろぽろ、あの芝居も、この劇場も――懐かしい人も。
心に留めておける記憶がたくさんある。
何年経っても思い出せますように。今日観た舞台も、明日出会う芝居も。

【まな美座 公演予定】
10・11月 八幡温泉センター(静岡県)

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寿恵さんと剣次郎さんが7月の劇団美松@木馬館公演にも加わっていたときも、異色のコラボで楽しかった。11月、美松さんが篠原演芸場なのでまた来てくれたりしたら嬉しいな~(と言霊を残しておく)。

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