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春陽座さんは素敵だ!と書きたい理由 ―三吉の舞台から―

昨年2月以来、春陽座(はるひざ)さんが1年1か月ぶりに横浜・三吉演芸場に帰って来ています。少人数ながら、今月上旬に観られた舞台はいずれも素敵でした。

「良いよね」とか「大好き」とか日常の話し言葉より、あえて「素敵だ」と、ちょっとよそ行きの言葉で称賛したくなる感じ。全然まだ本数を観られたわけじゃないけれど、この劇団さん好きだな、楽しいな、と改めて思ったところを…5つほど並べてみる。
※あくまで個人の感想です。

①ミニショーの物語性


【3/4 清水次郎長】

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【3/7 名月赤城山】

ミニショー全体が一つの物語に沿って組まれているパターンに何回か遭遇。さらに、顔見せショーという「役者個人」に極めて重きを置いた場面にも関わらず、きちんと役者さんのニンを押さえた配役になっているのも嬉しい!

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【清水次郎長】より。スピード感のある澤村拓馬さんは小政にぴったり。

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大政は貫禄のある澤村京弥さん。

そしてこのパターンは、幕が開いたら板付きで国定忠治や次郎長がいるという、「最初からクライマックス」感にテンションが上がる(/・ω・)/


②澤村心座長の、役に溶け入る感

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二枚看板のうち、先輩座長に当たる澤村心座長。 6年前の東京公演で初拝見したときからカッコいい役者さんだったけど。39歳の現在、年輪と艶と風格がフュージョンして、えらいこっちゃな男前になられている(震)

カッコいいにも関わらず、心さんのお芝居は「我」がほとんど前に出てこない。
たとえば3/7『江戸の花駕籠』では主役の三太郎を演じていた心さん。病の女房を救うための三十両を、情に厚い念仏四郎兵衛親分(かずま座長)に恵んでもらい、三太郎は温情に泣きながら小判をかき集める。
「お菊、お菊、これでお前を助けてやれる…!」
地面を転げて小判を抱きしめ、頬にはぺったりと涙。乱れた鬘の下で、目はくしゃくしゃに細められている。役者さんの姿形を見ているというより、三太郎という不器用な男がそこにいると自然に思える、そういう温度がある。
すんなりと、平熱で役に溶け入る。その魅力が回数を重ねるごとに沁みてくる役者さんだ😊


③澤村かずま座長のMAX感

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無題

二枚看板の後輩座長は澤村かずま座長。元気はつらつを絵に描いたような35歳の花盛り!
「お客さんが今日は少なめですが、その中でここにいる方は、来にくい日に来てくれたってことですもんね?! ありがとうございます!」
と、先日大きな目をしぱしぱ瞬いて御礼を述べていた様は、実に健康的なお人柄を思わせた。このキュートさが愛されるゆえんなのだろうなぁ…。

声も大きく、動作も大きく、描線がぐりぐり太い役者さん。3/3『神崎東下り』で演じていた馬子・丑五郎は粗野だけど実直な役柄で、かずまさんにとても合っていた。
「神崎さん、死んじまったのか、ごめんよぉ…」
丑五郎は自分の非礼を悔いて、途方にくれた顔つきでよろよろ歩む。神崎さぁん、と子どもみたいな泣き声に、役の気持ちがいっぱいに膨らんでいる。
喜怒哀楽、いずれの表現にもエネルギーがほとばしっていて、観ているとパワーをいただける気がする。「かずMAX」ってこれ以上ないくらいのニックネームは一体誰が付けたのか…。


④群舞の色彩

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わ、きれい!バランスいい!と写真に収めたくなる、群舞の配色。シンメトリーの形が決まると、クレパスを広げたみたいだ。ライティングとの相性も計算されているのだろう。


⑤舞台の“ふんわり”
これはまだきちんと言語化できていない感覚なのだけど…。春陽座といえば「上品」という言葉をよく聞くし、本当に舞台が品良く整えられているのを感じる。だけどそれが堅苦しい「型」「様式」にならず、芝居では役の気持ちが伝わってくる。それは何に拠るものなのだろう?と考えると…。

何か「ふんわり」した感触が、いつも舞台にあるように思う。

たとえば、心座長の優しいお顔立ちや、かずま座長のキュートな表情など役者さん由来のもの。人間の気持ちを丁寧に描こうとする脚本。それから、観る人に心地良い色がさりげなく選ばれている、衣装・道具の色彩。お芝居の見せ場に流れる音楽が、やわらかで耳に馴染みやすい曲調であること…。

三吉に行くたび、ああ心地よいな、と思う。まるで上品な和菓子が口の中で溶けるみたいに。


【春陽座 今後の予定】
3月 三吉演芸場(神奈川県)
4月 おふろcafe湯守座(三重県)
5月 清水劇場(広島県)
6月 玄海ロイヤルホテル(福岡県)

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