FC2ブログ

小龍優さん舞踊【Urban Pirates】(劇団新) ―少女は海賊になった―

2018.2.3夜@大島劇場

劇団新(あらた)花形の小龍優(こりゅう・ゆう)さんは、18歳。先日、川崎・大島劇場で約1年ぶりに観て、その独自性にわくわくした。

優さんの大きな目を見ると、頭にぽーんと浮かんでくるのが…「不思議の国のアリス」! 昨年のお誕生日公演での水色のアリスの衣装が、ファンの方のブログやツイッターで話題になっていたせいだと思う。
もう一つ、理由がある。むかーし何かの本で読んだけど、「アリス」原作の挿絵に描かれた厳しい顔つきは、少女の表象として画期的なものだったらしい。それまでの少女像といえば優しげな微笑みばかりだったから、チェシャ猫やハートの女王をにらみつける女の子はエポックだったそうだ。
優さんはピカピカの笑顔ももちろん可愛いけど、むしろ。眼前を見据える、大胆不敵を絵に描いたような表情が印象に残る。



P1180648.jpg

2/3の夜、ほぼ満員の客席の前で踊っていた【Urban Pirates】。
―大海原 前に叫ぶ ヨー・ホー―
蒼い鬘のカールが背中で跳ねる。客席に下りて、ダン、ダン、と畳を踏みしめる。
―風向きにまかせ 決める 進む方向―
カッコよかった。海賊の扮装だけでなく、そのダンスのパワーが。欲しいものをもぎ取りに行くかのような、挑む目つきが。

単に可愛いとか(いや可愛いけど)、上手とか(上手だけど)、そんな簡単な言葉に収まらない。たしかに10代の女の子なのに、もっとずっと強い何かに見える。優さん贔屓の友人が、その第一印象を「おもしろい“イキモノ”」と書いていたように。少なくとも、いわゆる“少女”というベタベタに消費されつくした愛玩物じゃあない。
小柄な体が音楽に合わせて揺れながら、ダン、ダンと何度も地団太踏んだ。

「男だったらね、と言われ」
「男の兄弟だったらね、と言われ」
「男に生まれてきた兄達を嫌いになった事も」
「でも今はこの兄妹で良かった」
「ここに生まれてきて良かったと思います」
(@koryuxxx_13 2017/1/17)
昨年、優さんのツイッターの発言に胸をギュッとつかまれた。こんな新しい世代の女優さんでも、まだ抑圧を感じながら日々舞台に立っているのか。上の世代の女優さんたちが、様々なものと戦いながら道を開いてきたように。

女たちは、何を押さえつけられてきたのだろう。いまだに、何を押さえつけられているのだろう。
大衆演劇の女優さんで言えば――男優を立てて、座長の芝居をいかにうまく受けられるかが最大の価値で、あとは可愛く笑うのが仕事だと、彼女たち自身が思っていた時代があったのかもしれない。

でも18歳の優さんは、そんな時代を脱ぎ捨てたように踊っている。才能をお兄さんたちにもお客さんにも評されながら、愛されながら。
舞踊の合間に掛け声がいくつもかかった。
「小龍!」「花形!」
劇団新・花形は、畳の上で腰を左右に振り、舞台へ駆けていった。青い髪がぐるんと宙に浮いて、振り向いた目つきは誰よりも強かった。

女たちのまなざしは、変わらない優しさを湛えながらも。
太く。
強く。
鋭くなっていく。

P1180647.jpg

―見つけに行くスーパーお宝 狙うはOnly one just for me―
自分で欲しいものをもぎ取りにゆく。

少女を脱ぎ捨てて。
アリスは、海賊になった。

【劇団新 今後の公演先】

3月 南平台温泉ホテルみなみ座(栃木県)
4月 スパランドホテル内藤(山梨県)

※友人の書き手・半田なか子さんは、優さんの役者としての個性に初見で惚れこみ、何度も文章にしています。なか子さんの優さん語りはこちら⇒「小屋っ子の戯言」小さく優しい龍の革命:劇団新――小龍優さんのこと

※兄・龍新座長による優さん評:「静と動どっちもいける、おそらく三兄妹で一番オールマイティーなのは妹」⇒SPICEインタビュー「“ブレない強さ”を持っておきたい」26歳、龍新座長のチャレンジ(2017年3月)

にほんブログ村 演劇ブログ 大衆演劇へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)