女形って面白い!―劇団KAZUMA三人衆―

劇団KAZUMAの横浜公演も気づけばあと少し…(千秋楽は12/15(木))。Twitterのタイムラインにも続々とKAZUMAファンが増えていくのを、わくわく眺める日々です。
三吉演芸場の舞台を見つめる中で、一つ気が付いた。

女形って、なんて面白いんだ…!

いや、4年大衆演劇観てきて、何を今更…って感じですが。男優さんが舞踊ショーで演じる女形。きれいとか可愛いのはもちろんのこと。
「役」に近いんじゃないかってことに、ようやく開眼したんです。

立ち舞踊は、男性のカッコいいところを膨らませたもの。てことは、ある程度、素の男優さんの延長線上に作ることが可能なんじゃないかな…?
雄々しさが売りの役者さんなら、荒々しい舞踊が得意だろうし。優男で売っている役者さんなら、甘く王子様みたいな舞踊で歓声を受けているだろうし。
もちろん立ちにも色んな曲があって、たくさんの造形があるけど、「素の自分」を出発点にできる部分が大きいと思う。

でも女形は、逆の性。本来の自分をひっくり返して、「男」の輪郭を叩き壊した向こう側にある。
練って、作り上げていかなきゃ成立しない存在――つまり、芝居での「役」により近い舞踊なんじゃないかな…

てなことを考えながら劇団KAZUMAを見ていたら。将さん・竜也さん・大介さん、同学年3人組の女形の違いがことさら際立って映るようになって、女形舞踊の時間が今とっても楽しい。個人的な感想をつらつらっと。

◆気持ちがいっぱい 柚姫将副座長

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『たまゆら』(2016/11/24)

三吉公演でKAZUMAを久々に観た友人たちが、口を揃えて言う。
「将さんの女形、色っぽくなったねえ…」
間を空けて観ると、変化が如実だったそうだ。

哀しげな印象が強い将さんの女形。『たまゆら』はよく踊られている曲の一つだ。
“女結びは蝶結び 男結びは片結び”
紫がよく似合う女の姿は、切なく時に苦しく。恋に煩悶する女の曲が多いのに加えて、将さんの目つきや表情は、情がたっぷり深そうだ。心が優しいばっかりにあれこれ気に病んでしまう、そんな女性像が浮かぶ。
この「悩める女」路線の傑作は、やはり『夢一夜』かと…。

そして将さんには、別の路線も。こっちは、最近より顕著に開花している気がする。


『雨の慕情』(2016/11/13)

“雨雨ふれふれ もっとふれ 私のいいひと つれて来い”
↑の『雨の慕情』。とりま、めっちゃ可愛い。(ええ、ファンですとも!)
姿かたちも可愛いけど、「恋人を待つ」健気さが可愛い。
この曲は、「雨があの人を連れてきてくれたらいいのにねえ」って頬杖ついてアンニュイに唄うようなイメージだったけど。将さんが深紅の着物でくるくる動き回るのを見ていたら、「雨だしあの人にまた会えないかなー」と待つ健気な女心に思えてきた。

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純愛路線、とでも言えるかな。可愛い!とかつて騒いだ『あんたの大阪』もそうだった。体いっぱいの愛情で相手を想う、そんな女形にも三吉公演では何度か出会えている。
いずれの路線も根っこは同じ、曲に合わせた気持ちがいっぱい。毎日全身全霊で、演じる喜びを体現する。

◆コワイ女の妖美 冴刃竜也副座長

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『津軽海峡冬景色』(2016/11/27)

竜也さんの女形は、美しい。そして怖い。
つーっと滑っていく体の中央で、暗い目がらんらんと光っている。
情念にまかせて、何かとんでもないことをスルリとしでかしそうな、腹に秘めた一物を感じさせるのだ。ひとり火曜サスペンス劇場。
もしこのブログを読んでくださっている方で劇団KAZUMA未見という方がいましたら、竜也さんの女形舞踊を体験するために一度足を運んでみても、決して損はしないと思います。

『津軽海峡冬景色』は多くの役者さんが踊る曲だけに、その独自性がよくわかる。
“さよならあなた 私は帰ります”
って歌ってるけど、絶対この女性は帰らないでしょ。むしろ連絡船で男を待ち伏せてるでしょ。

三吉で観た竜也さんの舞踊のうち、とりわけ強烈だったのが『ホテル』。

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『ホテル』(2016/11/24)

“ごめんなさいね 私見ちゃったの あなたの黒い電話帳”
“私の家の電話番号が 男名前で 書いてある”

という歌詞から、この女性は誰かの愛人なんだなあとわかる。大衆演劇での「愛人」って、芝居にしろ舞踊にしろ、「日陰の女の悲しさ・切なさ」的な表象がキホンだと思っていたのだけど。
竜也さんのつくる女の顔には、悲しみの要素がない。全然ひるまず、むしろズンズンと前に前に迫ってくる。

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“奪えるものなら奪いたいあなた そのために誰か泣かしてもいい”
もしこんな女性を二号さんにしようものなら、家庭崩壊は決まった…。
手を出したら破滅の予感、でも妖美ゆえに惹かれずにいられない。
胸元がいつも勢いよく開いていて肉感的です。ガバッと。

◆「女の形」 千咲大介座長(劇団千咲)

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曲不明(2016/11/16)

このエントリーを書こうと思ったきっかけは、大介さんの女形にハッと目を見開かされたからでした。
将さん・竜也さんの女形が、カラーはまったく違えど、両者とも「こういう女性ってリアルにいそう」という方向性なのに対して。
大介さんの女形は、生身の女の美しさとは異なる。女のネットリしたなまめかしさがなく、精緻なお人形が動き出したよう。
まっすぐ描いている眉や、腕を曲げずにスーッと上げる振りなど、直線が多いせいもあるかもしれない。表情もほとんど動きません。

11/22(火)の個人舞踊『女の酒場』。この一本には、大介さん個人を超えて、「女形」という表現が持つ根源的なパワーがあったように思う…。

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『女の酒場』(2016/11/22)

“心に残った未練酒 時間が行けば苦くなる”
“寂しいよ 寂しいよ 身体が寂しいよ”

歌詞は極めて俗っぽい曲。女が別れた相手の愚痴をつぶやきながら晩酌してる、という風景。こういう曲の中にあってすら、大介さんからは生々しい「女」が匂わない。お酒をクッと飲み干す当て振りも、操り人形のように淡々と。

三吉演芸場の花道にゆっくりと歩んでくる女形。花道脇の席で、大介さんを至近距離で見上げた。
そこにいたのは、性別のない、心がどこかにさまよい出たままのような身体がひとつ。

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女という「形」がひとつ。

“恋しいよ 恋しいよ 背中が恋しいよ”
“逢いたいよ 逢いたいよ もう一度逢いたい”

と泣く歌の主人公であると同時に。この涙の世界が丸ごと「形」に過ぎない、という冷ややかな外側からの視線がそこにはある。

将さん・大介さんは芝居での女形もちょくちょく見ますが、そのうち竜也さんも芝居の女形されないかなぁと期待。
ところで、お三方のこと、もうトリニティって言わないんでしょうか…。ペガサス・トリニティ(天馬三人衆)って呼び方、スクエニ系の漫画に出てくる組織名みたいでけっこう好きだったんだけどな(笑)

【劇団KAZUMA 今後の予定】
12月15日まで 三吉演芸場(神奈川)
1月 鈴成り座(大阪)

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