高槻千鳥から①劇団天華お芝居「花かんざし」「桶屋さん」

2016.5.21夜&22昼@高槻千鳥劇場

“物語”に浸かりたい。



元々、5/21-22の週末に大阪・京都旅行を予定していたところ。
大阪に行くなら、どーしても高槻千鳥劇場をスルーできない…っ!という私のとんでもないワガママに心優しい連れが付き合ってくれた(ありがとう!!)。
しかも2日間だから観られる芝居は2本だな~と思っていたら。出発前に劇場のブログを再確認して目を疑った。
5月22日(日) 昼1回ロング公演 お芝居二本立て
ということは2日間合わせて3本の芝居が観れちゃうということ…?
…私、今一番好きな日本語が「お芝居二本立て」です(次点は「通し狂言」)。

幸運にも観られた三本の感想を順に書いていきます!

5.21(土)夜 「花かんざし」
色んな劇団さんでお馴染みの演目。この日は大川竜之助座長がゲスト。主役の顔に大きなアザのある男は竜之助座長が演じていた(役名がどうしても思い出せず…残念な記憶力で申し訳ないm(__)m)。

大川竜之助座長
CIMG8803.jpg
(5/21はお歌も披露。千夜さんのリクエストだったという長渕剛から、『Close your eyes』を熱唱!さすがはプロの巧さでした)

竜之助座長演じる主人公は、旅の道中、悪い侍(澤村龍太郎さん)に斬り殺された女(喜多川志保さん)を見つける。そこへ女の娘(澤村神龍副座長)が戻ってくる。
「おっかさん、これからあたし一人でどうしたらいいの…」
泣き崩れる娘をよく見れば、目が見えていない。目を開けるために医者にかかるお金を持って、母娘二人で旅の途中だったという。
「なんだ、来るところがねえなら、俺のうちに来るか?」
と低く語りかける様はハードボイルドなカッコよさ。娘・お花ちゃんと一緒に暮らすようになってからは徐々に恋心を寄せるけれど、
「兄さんは、どうしてあたしにこんなに良くしてくれるの?」
「そりゃ、俺は、お前に惚…いや、いや、なんでもない」
と言葉を引っ込めてしまう、語らない男の渋みがある。

でも、竜之助さんの作るキャラクターが真に伝わってきたのは、後半の展開でその“カッコよさ”が剥がれてきてから。
「兄さんがどんな顔をしているか知りたい。兄さんの顔を触らせてほしいの」
と頼むお花ちゃん。しかし自分の顔には大きなアザがある。きっと触らせたら怖がるに違いない、嫌われるかもしれない…
そこで、ひょっこり訪ねてきた弟分の政吉(澤村千夜座長)に頼む。
「お前の顔を、ちょいと俺に貸しちゃあくれねえか」
だけど政吉が、お花ちゃんの身の上を聞いて「かわいそうになぁ」と一言言おうものなら。
「同情なんてするんじゃねえ!かわいそうだ、何とかしてやりたい、と思い続けたら、その先には何がある?愛情に変わるんだよ」

いら立ったように政吉を監視する、竜之助さんの全身に“焦躁”があった。今の暮らしを壊したくない、でも顔のきれいな弟分に恋を奪われるのは怖い、という焦りが不機嫌そうな表情にハッキリ見て取れた。

不安通り、政吉はお花ちゃんを好きになってしまう。
「頼む、政吉、諦めてくれ。お前はこれから先、いくらだって女はいるだろう。俺にとっては初めての恋なんだ」
弟分に頭まで下げて、もう必死だ。落ち着き払った兄貴分の姿が崩れるほどに、恋の切実さがひしひしと迫って来る。

そして千夜さんの政吉。ラストに、あ!と目を開かされた。

澤村千夜座長
CIMG8783.jpg
(5/21個人舞踊『傘ん中』)

「兄貴、聞きましたぜ、旅から帰ってから若い女連れ込んでうまくやってるらしいじゃないですか!」
と、ニヤリ笑って言う。竜之助さんが渋く締まった味なのに対して、千夜さんの見せ方はフワンと軽くて柔らかで、両者のバランスが面白い。
恋敵となった兄弟分が決闘しかかっていたところに、親分(澤村丞弥さん)がやって来て、破門することにした兄貴のほうを襲おうとすると。
「はいはい、親分、俺そっちにつきます!一緒にやっちまいましょう!」
って義侠心なくサクッと裏切る(笑)

けど、ラストシーン。目の開いたお花ちゃんは、あんまりな誤解だけども、恩人と間違えて政吉のほうに駆け寄っていく。好きな女を手に入れてさぞ喜ぶかと思いきや。
意外にも、政吉の横顔は呆然としていた。ただ言葉を失って、お花ちゃんに素通りされた兄貴分の背中を見やる。
竜之助さんがきっぱり決めて、「幸せになれよ」と言い残して去っていく。一人きりで立ち去る主人公の哀れみが際立つシーンだけども。
―その背後で、千夜さんが体を投げ出して、土下座せんばかりに頭を下げているのが目に入った。
盃を分けた兄貴分への気持ちが、政吉の中にはちゃんと残っているんだ…

悲しみこらえて去る兄と、背後で詫び続ける弟。役者さんは一途にそれぞれの役になりきって演じているだけなのだろうけど。結果的に、そこには去る者・残される者、両者の心が響く複眼的な絵があった。
大衆演劇初めてだった連れが、三本一緒に観てくれたうち、一番良かったと言ってくれたのが『花かんざし』でした。

初日でこんな長々書いてますが、続きます。もうちょっとだけお付き合いを!
翌日はカンカン照りの日曜日。
劇場の階段を昇る足取りも軽く、ロング公演です!
お芝居二本立てです!(しつこい)

5.22(日)芝居一本目「桶屋さん」
他の劇団さんを含め、初めて観る芝居だった。

千夜さん演じる桶屋の社長・ハゲ山(笑)は、旅一座の女座長・志保太夫(喜多川志保さん)に入れあげて、寄り合いだとウソをついては高槻千鳥劇場に通う日々。ある日そのことが、桶屋の弟子っ子・鶴(澤村神龍副座長)と亀(澤村丞弥さん)の口から、社長の妻・よしえ(澤村悠介さん)にバレてしまう…というコメディ。
一幕一場で桶屋だけを舞台に、中のドタバタが描かれる。こういう“家の中の小さな喜劇”、大好物!しょーもないことで必死に右往左往する人々の愛しさ。

ハゲかつら被った千夜さんの愛嬌もさることながら、「あんたがしっかりしてないからや!」と恐妻全開で怒鳴りつつもキュートな悠介さん。“肝っ玉母ちゃん”的な役を貫禄とおかしみを持って演じきる。この役者さんが24歳とは…。

澤村悠介さん
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(5/22一部の舞踊ショー。キュートさと老獪さが入り混じる、不思議なたたずまいだと思います)

いま二人、微笑ましいのが、神龍さんの鶴・丞弥さんの亀の弟子っ子コンピ!神龍さんと丞弥さん、いかにも現代的・少年的な役者さん二人が“弟子っ子”っていう枠の中で絡むと、こんなに可愛いんですね。

澤村神龍副座長
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(5/22個人舞踊。いっぱいのお客さんを前に、のびのびした表情)

澤村丞弥さん
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(5/21個人舞踊。驚きのLINE柄のお着物!)

芝居上の役割は同じなんだけど、耳聡くてすばしっこそうな鶴とのんびりポワンとした亀、二人のキャラクターの違いが面白かった。
たとえば、悠介さん演じる社長の妻に「お父ちゃんのこと喋ってくれたら、5000円やるわ」って言われたとき。
「5000円…どうする?」
と興奮しつつも色々計算してそうな表情の鶴。
「全部話す!」
とのーんびりした笑顔であっさり応じる亀(笑)

この他、志保さんのテレンと色っぽい女座長とか(「お父ちゃん」って社長に甘えつく姿のかわいいこと!)、龍太郎さんのいかにもざっくばらんな感じの旅役者とか、静華さんの(どう見ても美人すぎる)うどん屋さんとか、賑やかなキャラクターが小さな桶屋さんを横切っていく。
その中で、千夜さん社長が志保太夫に渡す着物をなんとか家の外に持ち出そうと、一生懸命に策を練るのが楽しい。

さて芝居二本目「釣忍」は次の記事で書きます。
この劇団さん、やっぱり素敵だな、と思わせてくれるお芝居であったと同時。
“お芝居を観る”ことの幸福感がどこにあるのかを、示唆してくれるようなひと時でした。

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