劇団章劇お芝居「石松の初恋道中」

2013.2.2 夜の部@浅草木馬館

澤村章太郎座長の演じる、敵役のヤクザの親分。
もっぱら強きを助け弱きをくじく。
喧嘩はもちろん卑怯な手で勝てばいい。
たった一人の若い衆(澤村ダイヤさん)は、弱くてあんまり役に立たない。
トナカイみたいに赤い鼻の、
その名も赤鼻の大五郎!

写真・澤村章太郎座長(2/2顔見せショーより)


初鑑賞の章劇さん。
主演は森の石松役の澤村蓮副座長だったけど、一人一人見どころの多いお芝居で大満足。
中でも私の心をつかんで離さないのが、章太郎座長の演じた赤鼻の大五郎。
石松の敵役、それもあんまり格好の良くない敵なんだけれども。

大五郎親分が惚れたのは、大丸屋のお嬢さん・お染ちゃん(澤村七知さん)。
大五郎は五十近い設定っぽかったので、老いらくの恋と呼ぶにはまだ早いけど。
まだ十八というお染ちゃんとはかなりの歳の差。
それでも恋に焦がれ焦がれている様子、
章太郎座長が情感たっぷりの台詞回しで表現します。

「厠に行った時、手を洗おうとすると、お手水の鉢の中にお染ちゃんの顔が浮かんでくる」
いや、水です。
「おひつを開ければ、その中に白いお染ちゃんの顔が…」
いや、米です。

恋は盲目の文字通り、大五郎の心は何を見てもお染ちゃんに繋げてしまう。
澤村ダイヤさん演じる子分も呆れ顔。
(この章太郎座長・ダイヤさんの容赦ないやり取りもなんとも可笑しかった)

それでも、赤く染まった鼻を天に向けて、
お染ちゃんを思い浮かべ、切なそうに目をつむる大五郎が。
なんだか微笑ましく、可愛く見えてきたというのに。

「おい、いいから娘を連れて行け!」
暴走した恋心は、お染ちゃんを力づくで攫うという手段に出てしまうのです。
ええええ。
そしてヒーロー・石松にかっこよくお染ちゃんを救われて、石松とお染ちゃんの初恋物語が始まってしまうのです。
あちゃー。

でも、大五郎はそれくらいじゃあめげない。
物語終盤、もう一度お染ちゃんを誘拐する。
当然助けにやってきた石松。
どう迎え撃つのかと思っていたら。

子分と二人がかりで、石松を井戸に落とすという。
卑怯極まりない方法(笑)
うわあ。

でも最後は、石松と石松の兄弟分・小政(澤村雄大さん)に、たった一人の大事な子分も斬られてしまって。
石松・小政と大五郎の戦いになる。
そして当然のように負けて斬られまくる大五郎。
が、なかなか死なない。

「死んでたまるかぁ~」

唸りながら刀を地に突き刺して、粘る粘る。
この死に際の悪さ。
うわあ(2回目)。

大五郎親分の、やっている事自体は酷いんだけど。
お染ちゃんへの恋心、そして章太郎座長の醸し出す柔和さのせいか。
この敵役はどこかユーモラスで憎めない。
最後、結局斬られて退場する(死ぬ)場面なんか、
ああ可哀そうに…と思わずにはいられなくって。

大衆演劇のお芝居は、王道を歩むヒーローの魅力を存分に見せてくれる。
いつも私はそれにどっぷり浸っているのだけど。
お芝居の脇道のほうから、敵役の魅力はぴりりと効いて。

幕が閉じた後も、思い出すのは真っ赤なお鼻。
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