劇団花吹雪お芝居「おとめ与三郎」②寿美英二さん・桜京誉さんの夫婦役

2013.1.26 夜の部@浅草木馬館

さて、前回の記事で主役の春之丞座長編を書きまして。
このお芝居で私が、何が嬉しかったって。
久々に寿美英二さん・桜京誉さんの夫婦役が観れたこと!

写真・寿美英二さん(1/26舞踊ショーより)
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写真・桜京誉さん(1/26舞踊ショーより)
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昨年11月、花吹雪初見のお芝居は「兄の真心」。
「この劇団のお芝居いいなぁ!また来よう!」と何より思わせてくれたのは、
なんとも息の合ったお二人の夫婦役だったのだもの。

寿美さんが父役、京誉さんが女形で母役。
ご兄弟で演じる熟年夫婦の演技は、じっくりコトコト煮込んだ料理のように。
お芝居の御膳の上で、いっとう美味しそうな湯気を出しています。

「おとめ与三郎」でそれを味わえるのは、与三郎の実家の場面。
与三郎の両親としてお二人が登場。
三年も音信不通の芸者と結婚するという息子を、なんとか説得しようとする。

……二人で息子に膝突き合わせ、真ん中にじりじり挟むようにして(笑)
与三郎、いや京之介さん、セリフなのか思わずの一言なのか、

「何か…挟まれると圧力を感じます」

ですよね。
しかし京之介さんを楽しそうに追いつめる、お二人の間合いのぴったり加減といったら。

いくら説得しても、
「私はお富と結婚します」
強情な与三郎に、寿美さん演じるお父さん、一つため息。

「あのなぁ、わしだからまだ言い方が優しいんやないか」
「次はばあさんが動くぞ」

言うが早いか、「ばあさん」=京誉さん、ずずいと前に出て両腕まくり、仁王立ち。
がっしと息子の肩をつかんで、客席の前へ。
(ストーリー的にも実際にも息子なのがポイント)
半ば脅すように、

「親の言うことは聞いとくもんやで」
「親の言う事聞いたから今があるんやないか」

うう~ん、なんて深みのある言葉!
客席で苦笑、微笑を浮かべていても、
「そりゃそうですけど……」
と困ったように頭を掻く京之介さんを見れば、うっかり噴き出してしまう。
京誉さんのニヒルな眼差しが、なんだか座ってらっしゃいますよ!

呼吸のように、ふとした会話の場面にも味は滲む。
寿美さんが、追い返したおとめの緑のつけまつげについて、
「目に緑の蛾が止まっとるんや」
と言えば。
蛾が?と怪訝な反応をする与三郎に、
「目に緑のモスラが止まっとる。わしらの世代やとモスラなんや」
と引き継ぐ京誉さん。

この「わしらの世代」って言葉。
普通の言葉なんだけど、何気なくまとう、お互いを知る時間の長さ。
ご兄弟だから当然?
でも、それだけではないような。

私は観始めたばかりなので、全然劇団花吹雪について知らないのだけど。
そういえば、このベテランお二人には、役者としても同じ歴史があるのではなかったっけ。
同じ劇団を背負って、同じ毎日毎日を、一時間一時間を、
同じ幕の下で築いてこられたんじゃあなかったっけ。
そんなことを思わせられる。

熟年夫婦。
積み重ねた時間の上の、阿吽の呼吸。

「ばあさん、こうしちゃいられん、わしらも行くぞ」
「あいよ」

熟練夫婦。
お芝居がぎゅぎゅっと締まる、極上の出汁。

ああ、満腹。
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