【SPICE】大衆演劇の入り口から[其之弐] “清らかさ”にふれたくて 橘大五郎座長

まずいーまずいよーお前に 惹かれ 惹かれ過ぎてさ♪
…このフレーズ、一回聞いたら耳から離れませんね(『惚れたってことは』)。
さすが作詞作曲小椋佳先生。

この歌を気持ちよさそうに歌う橘大五郎座長は、若干28歳。
まぶしく元気な笑顔が印象的だ。
けれど、その芝居・踊りの空間には溢れる詩情がある。
中でも純度を極めるのは――哀しみの表出だと、勝手に思うのです。

私の観られたお芝居だと『明治一代女』『悲恋 涙の馬子唄』、踊りだと『おつう』『願わくば桜の下で』とか。
悲しい、さみしい、切ない、ひとりきり。
そんな情感が現れるとき、息をのむほど濃い哀しみがパッと発散して。
…演者の身体を中心にして、また綴じていく。

その空間をSPICE読者にも共有してもらいたく、紹介させていただきました!

【SPICE】大衆演劇の入り口から[其之弐] “清らかさ”にふれたくて 橘大五郎座長


わかりませんか、届きませんか、私の心が。女の姿をしているけれど、私は鶴です。あなたに命を助けられた鶴です――。悲しげな目は訴えかけるようだ。8~9月、この女形に東京で出会える。

昔ばなし「鶴女房」は、多くの読者が聞いたことがあると思います。“あなたの所にお嫁に来たのです”…貧しい男のところに嫁いできた美しい女。その正体は、かつて羽に刺さった矢を抜いてやった鶴だった。けれど最後は男が約束を破ったために、女は鶴の正体を現して飛び去ってしまう。
大衆演劇の役者さんに、この話の名演者がいる。三代目・橘大五郎座長(橘劇団)。舞踊ショーで「鶴女房」をモチーフにした演歌をかけて踊る。寂しそうに結ばれる両手の小指、紅を引いた唇を耐えるみたいにきゅっと噛みしめる。


⇒続きはSPICEでお読みくださいませ




深い、たくさんの表情を持っている役者さんであるほど、私の筆力が追いつかず。
かといって長すぎる文は読者に負担をかけるし、大五郎さんを知らない方にも最後まで読んでいただくには…
とグルグル考えて、実はかなり書きあぐねていました。

読んでいただけばわかる通り、友人の発言に全編が支えられている。
大五郎座長の芸質の中心をつく、この一言があったのでようやく書き上がった。

しかし、5月の三吉演芸場公演、6月のゆの郷公演、8月の木馬館公演。
いずれも初日近くに行くことができて、気付いたのは。
地元のお客さんが、この1年間どれだけ“大ちゃん”を心待ちにしていたかということだった。
舞台に現れたとき、会場から弾けた「三代目!」「大ちゃん!」の声。

抒情性に満ちた芸風。
何より、観客との垣根を一瞬にしてフイッと消す、心の在り方。
この座長さんの舞台を観ることで、大衆演劇という芸能の原型に近いものを、少し読みとれるような気がする。

にほんブログ村 演劇ブログ 大衆演劇へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)