劇団KAZUMAお芝居「裸千両」(三人会)

2015.3.20 ロング公演@堺東羅い舞座

「3月はどこかで必ず大阪に行くことになるから、空けておかなきゃ!」
去年の夏頃から、観劇仲間や友人に私はそう話していた。
「3月、どうする?」
遠征先の客席で、常連さんたちの間からも聞こえてくるようになった言葉。
劇団KAZUMAに関わるどれだけ多くの人たちが、この“3月”を待っていたことだろう!

新副座長二人と大介座長、若手三人の創る日『三人会』。
お芝居『裸千両』は、旗揚げ当初にやっていたお芝居を引っ張り出してきたらしい(8年ぶりとか)。

三人会なので、三人に順番に言及していきます。
まず、主人公・安太郎を演じていた竜也さん。

冴刃竜也副座長(当日個人舞踊「風の盆恋歌」より)


一番印象的だったのが、竜也さんの芝居の“明るさ”だった。
いや、決して今まで暗い人だと思っていたわけじゃなくて…。
竜也さんのお芝居というと、仇討ちを遂げて死ぬ七五郎とか(『加納屋文七旅日記』)、良い人と見せて陰で「バーカ」と吐き捨てる子分とか(『男の人生』)。
暗澹とした役柄が、普段とのギャップで記憶に残りやすかったのだ。

でも、『裸千両』の安太郎は能天気。
博打に失敗して着物を取られ、芝居の最初から最後まで裸なのがひょうきんさを醸す。

安太郎は、たまたま知り合った目の見えない侍・木村進之助(千咲大介座長)の仇討ちの片棒をかつぐことになる。
進之助は芸州・広島から、父の仇である柏木(藤美一馬座長)を追ってきた。
柏木は、不動の栄五郎親分(柚姫将副座長)のところで用心棒をしているという。

進之助に代わって、安太郎が不動一家に乗り込む場面がおかしい。
「何だっけ…そうだ、こういうところでは仁義ってのをやらないといけないんだな」
戸を開けると、子分(KEITAさん)が出てくる。
「お控えなすって!」
「お控えなすって!」
「土地っ子にて控えさせていただきます」とKEITAさんが言うも、安太郎には自分が名乗るタイミングがわからない。
「じゃ、あっしも控えさせていただきます」
「ちょっと、二人とも控えたら仁義にならねえでしょう!」
KEITAさんに突っ込まれて数回やり直すも、なかなか名乗りまでいかない。
「土地っ子にて控えさせていただきます」
「どうも、ありがとうございます」
と頭を下げちゃう(笑)

竜也さん、主役とあって、とにかく緊張していたのが伝わってきたけど、後半は仲良しの大介さんとの絡みがイキイキしていた。
一馬座長の十八番である、情のある三枚目。
その要素を継ぐのは、もしかしたら竜也さんなのだろうか。

そして、安太郎とペアになるのが大介さんの木村進之助。

千咲大介座長(当日個人舞踊「C.O.S.M.O.S.~秋桜~」より)


最初に「藁にもすがる思い」で安太郎を頼ったことから、進之助は安太郎を「藁」と呼ぶ。
「のう、藁」
「だから安太郎ですって!」
「藁(←聞いてない)、お前がせしめた千両をこれからどうしようか考えていた」
安太郎の背にある、栄五郎親分からもらった重たい千両箱を指して言う。
自然と人の上に立っている感じの喋りが、実に侍らしい。
「まず三百両はわしがもらう。父上の立派な墓を立ててやりたい。三百両は、柏木の妻子にやろうと思う。そして残り四百は…藁、お前にやろう」
「ただし、お前がその千両を芸州・広島まで運んでくれたらな」
と、しっかり人を使うのも忘れない。

大介さんは侍やっても子分やっても手代やっても、セリフ一言、仕草一つに、キャラクターをわかりやすく滲ませる。

で、芝居を締めるのが将さんの不動の栄五郎親分。

柚姫将副座長(当日群舞「羅生門」より)


子分(藤美真の助さん、KEITAさん、ひびき晃太さん)に囲まれて、涼しい顔で座る親分。
突然、柏木を出せと乗り込んできた安太郎にも動じない。
「柏木の先生は一家にとって大事なお人だ」
「先生に妻子がいるってのは聞いてねえぞ、先生はこれから俺の妹との祝言を挙げるんだ」
「なあ、悪いがお前さんの話、証拠がない。信じるわけにはいかねえな」
人望のある親分らしく、温情交えて断る。
安太郎が柏木の命の代わりに要求した、「一箱千両」という無茶な要求にも。
「命の次に大事なのは金か…その命を諦めるんだ、なるほどな。おい、一箱千両だ、持ってきな」
とアッサリ応じる。
子分たちが反対すれば、じろりとねめつけ、
「俺が俺の金を出すんだ、文句があるってのか?」
将さんの役作りはどっしり大きかった。

しかし将さんの“親分役”、私は最近すっかりツボである。
以前は、元気いっぱい子分役をやっている印象のほうが強かった。
かつて、友人が初めて劇団KAZUMAを観たとき、「柚姫さんの子分役が良かった。あんなに切れ味の良い『へい親分!』はなかなかない」と褒めていたくらい…。

でも、今年1月のオーエス劇場、『加納屋文七旅日記』では親分役だった。
「お前が侍の出なのは、俺は気づいていたよ。お前のその指、竹刀ダコだろ」
子分の七五郎(竜也さん)に、余裕っぽく笑む。
落ちついた声の使い方、足の運びも鷹揚に。
いつの間に、親分役をこんなに貫禄たっぷりに演じるようになられたのか…
これから副座長として親分役が増えていったら、今度はかつての「へい親分!」が恋しくなるんだろうなあ。

将さん、竜也さん、大介さんはみんな、1982年生まれ。
自然とそれぞれの持ち味が刺激しあって、芝居も踊りも見応えあるものになっているせいか。
それとも、3人の和気あいあいとした同級生感のためか。
昨年から、明らかに劇団KAZUMAのお客さんは増えてるみたい。
三者三様のこれからを予感させる、『三人会』でした。

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