爛漫―劇団KAZUMA 11人の風景―

2014.11.21-24 @四国健康村

「劇団KAZUMA久しぶりなんですけど、パワーアップしましたね!」
シコケン行きに付き合ってくれた連れが、送り出しで一馬座長にそう言っていた。

どんなことにも、脂がのっている時期というのがあるのだろう。
今。
もしかしたら、劇団KAZUMAは、何度目かの盛りの季節に差しかかっている、のかも。
2014年、舞台に立つ人々が入れ替わり、新しいカラーを持った人々がやってきた。

満開の桜を見上げて、思わずシャッターを切るように。
“今”の彼らのスケッチを残しておきたくなって、書き走ってみた。
気づけばすぐに舞台風景が変わっていくからこその、2014年末の記録。

藤美一馬座長(11/24舞踊ショーより)

年齢を重ねるたびに、情け深く、美しくなっていかれるんじゃあと思っている。
こんなにたおやかな女形だけど、得意は芝居の三枚目。
情だらけの、人間くさい、愛しい、三枚目。
「私はこういう三枚目の、みんなに笑われてるような役が、一番合うんですよね」
そう話していたご本人も優しそうで、人間好きそうで、でも繊細そう。
一馬座長が、要にいてくれるこの劇団のカラーが、私は好きだ。
ひとすじの水が流れるような個人舞踊「船頭小唄」は、珠玉と思う。

柚姫将副座長(11/21個人舞踊「加賀の女」より)

将さんの、根っこのしっかりした独特の芝居。
表される心の一つ一つに、精魂こもっているので、心底芝居がお好きなんだろうなと思う。
たとえば、11/24(月)に観てきたばかりの「唄祭り やくざ仁義」で、自分の父親の仇敵が発覚した瞬間。
刀をかざして、静かに進み出て、
「そうかい…」
声のトーンが一気に落ちて(本当に“一気に”来る!)、黒加減が7割増しくらいになる。
この、白と黒をひっくり返すようなゾクゾク感は、将さんの芝居が好きな方にはわかっていただけるのじゃないかな。
出会ったばかりの頃から、この“成り切り200%”な芝居に惹きつけられてきた。
来た…!これだ…!と客席で、いつまでもゾクゾクしていたいものです。

冴刃竜也副座長(11/22舞踊ショーより)

竜也さんが女形で現れると、客席がざわっ…となるのは、私の気のせいじゃないはず。
特にセンターだと、大衆演劇の女形を見慣れていないお客さんも多いせいか、周囲の衝撃を肌で感じる。
ものすごい吸引力がある。
毒々しいまでの色気がある。
ねっとりと、艶やかに、暗澹の中に、咲く。
KAZUMAの常連さん以外の方に、劇団KAZUMAが好きと話すと、「あそこの竜也君、いいわよね。色っぽいわ~」と返されること数回。

華原涼さん(1/4舞踊ショーより)

声、顔、姿――全部きれいに整った…ああ、この方こそ、役者さんだなぁ。
女形なら、鮮やかに咲く。
立ち役なら、しぃんと沈む。
そしてクールな涼さんが、三枚目役をしたときの爆発力といったらない。
その芸達者さには、どんな歴史があるんだろうか。
『演劇グラフ』2013年6月号で、劇団KAZUMAが取り上げられたとき。
役者になったきっかけという質問に、涼さんの答えは『時の流れ…』だった。
手を怪我されていて、しばらく舞台に出ていなかったので、最近の涼さんの写真がなくて寂しい。

藤美真の助さん(11/21舞踊ショーより)

初めて真の助さんを見た知人が、「舞踊を見て一発でファンになりました!」と言っていた。
真の助さんの舞踊…というか、客席とのじゃれあいは面白い。
「真の助―!」の掛け声に、「やかましいわ!」と返したり。
がははは、とも、うへへへ、とも、文字化できない謎の笑い声を響かせたり。
お笑いキャラを務める一方で。
客席に対しても、劇団の仲間に対しても、大きな眼差しで見ているのがわかる。
あらゆる面で大人なこの役者さんは、私にはホッとする存在だ。

龍美佑馬さん(11/24舞踊ショーより)

今、最も飛躍を感じる役者さん。
じっくりと、一歩ずつ、稽古されてきたのだろうな。
ふと気づけば、こんなに昂ぶる芝居をされる方だったか。
こんなに傘を使った舞踊が似合う方だったか。
そんな驚きをもって、新たな役者さんを見る目で、佑馬さんの人懐っこい笑顔を見た。
骨太の体躯に、渋みの走る姿。
↑の写真のような、“海の男”系舞踊は誰よりハマると思う。

ひびき晃太さん(11/21舞踊ショーより)

新人さん。
声が親しみ深くて、あっけらかんとしていて、耳に心地よい。
大抵は舞踊ショーで歌を歌うけど、11/24(月)のお芝居「唄祭り やくざ仁義」では、茶店の主人の役があったのでセリフが聞けた。
裏方でもいつも忙しなく、働き回っているようだ。
舞台の光は、影で走る人の汗あってこそ。

KEITAさん(11/22舞踊ショーより)

ここ数か月、ちらほら耳にする限りでは、KAZUMAの客席の10代のお嬢さんたちから、絶大な支持を得ているのじゃないだろうか。
私自身、2年前、木馬館で初めて見たとき。
あまりの美少年ぶりに、「え、えっ?!」と驚いてしまった。
立ち姿が美しく、大成されるような気がする。

劇団千咲 千咲大介座長(11/23個人舞踊「曼珠沙華」より)

“魅せる”ということの体現を見る。
客席の心をつかみとるアンテナが、身体の内側から、きらりと反応するのだろうか。
↑の写真は11/23(日)の個人舞踊、「曼珠沙華」は宇崎竜堂カバー。
ムード歌謡みたいな気だるさ満点の歌に、あえて古典舞踊っぽい笠!
なんとも瀟洒な組み合わせ。
オシャレ上級者ってこういうことか…
千咲をお休みする前は、大変な苦労をされたようだ。
今、この座長さんがKAZUMAの舞台から投げる光の強さ。

千咲菜野芭さん(11/24舞踊ショーより)

頭に飾ったお花も可憐、まだ少女みたいな女優さん。
けれど懐深さが、切なげな眉に現れている。
そのためか、菜野芭ちゃんの舞踊には、ふと揺らぐ色香がある。
演歌の女唄がよく似合う。
想う相手の弱さ、ダメさ、ひっくるめて包みこんでしまう―そんな歌詞が、踊り手の皮膚と吸い合う。

やっさん
いつも穏やかな投光さん。
一馬座長の女形舞踊のときの照明がすごくて、職人魂を感じる。

計11人(私が把握していない裏方さんとかいない限り)。
きっとこれは、移ろっていく風景の一つだ。
芸も人も、変わって行くんだろう。

刹那だからこそ、毎日、毎時間、毎分の舞台には、生々しい血潮が走る。
時に追い立てられて、切羽詰まって、それぞれが今の自分を、目の前の観客に叩きつける。
新しく来た人も、昔からいる人も。
自らの色を見つけながら、咲き群がる今。

熱放つ、“今”!

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