重ね重ねの、あたたまり―柚姫将さん・龍美佑馬さん(劇団KAZUMA)―

いわゆる“化学反応”っていうのは、あると思う。
誰かの持ち味と、別の誰かの持ち味が、組み合わさって、混ざり合って。
そこで初めて出てくる、目覚ましい色。

今回は、私が大好きな、このお二人の組み合わせの話がしたい。

柚姫将副座長(11/21(金)舞踊ショー「無錫旅情」より)


龍美佑馬さん(同じく「無錫旅情」より)


片や、朗らかな笑みにも活力みなぎる、30代の副座長。
片や、元警察官というごっつい経歴の、40代の男前。
このお二人が舞台に共にいるのを見て。
なんで、私の心が最初に読みとるものは、郷愁なんだろう…。
それぞれの空気が重ねられて、とても温かい。

最初に、将さん・佑馬さんの組み合わせについて、おお…?と、胸躍ったのは。
8月のぶらくり劇場で観たお芝居「土方一代」
将さんと佑馬さんは、生き別れの親子を演じていた。
父親役の佑馬さんが、息子と知らずに、将さんに尋ねる。
「その若さで渡り土工をやっとるのは、よっぽどわけがあるんじゃろう。よければわしに話してくれ。なぁに、年寄りの暇つぶしじゃ」
「そうか、暇つぶしか」
場が和らいで、将さんの語りの場面になる。

ここに、なんとも言えない味わい深さが漂う。
佑馬さんの丸っこい目と、将さんの研がれた感じの目つきが、途切れ途切れに絡むのがいいのか。
将さんの深みのある声に、佑馬さんの頷きが挟まるのがいいのか。
「俺は、おとっつぁんが仕事から帰って来るのを、いつも橋の所で待ってた。おとっつぁんに肩車されるのが、好きで好きで…」
物語られる望郷が、胸にストーン…と落ちて来る。

何だろう。
将さんと佑馬さんの狭間にあって、客席にほわんと降って来るもの、何だろう。

もしかして、それぞれの芯から出るものが、ちょっと似てらっしゃる?

まず、将さんのこと。
この香川遠征中に、KAZUMAの常連さんが、ニッコリして私にくれた質問。
「他にどんなすごい役者を見ても、柚姫将を追いたくなる魅力って?」
答えを、真面目に考えてみた。
――土の香りがする。
おいおい、カッコいい伸び盛りのお兄さんに対して、土ってキーワードはないだろう…と、自分でもなんだかすまなく思うけど。
良い意味で、現代的な擦れがなくって。
特にお芝居での、朗らかな声を聴くとき。
みずみずしく零れる土を、掌に受ける思いがする。

佑馬さんも、これまた、ぬくぬくした雰囲気をお持ちだと思う。
ふわーっとした笑顔を見ると、こちらもすっかり嬉しくなってしまう。
「あの佑馬さんって、ホントに善人な感じがする」
と、劇団KAZUMAを数回観た知人も言っていた。
一馬座長と佑馬さん二人の口上挨拶のとき。
「彼が隣にいると、つい頼っちゃって…」
なんて言葉も座長さんから出るくらいの、強烈な安心感!
多分、これからの劇団KAZUMAで、今まで以上に要になっていかれるんだろう。

11/21(金)、将さんと佑馬さんの相舞踊が観られた。
曲は「無錫旅情」。
――君の知らない 異国の街で
君を想えば 泣けてくる――

異郷へ向かう旅半ば、別れた相手を思う歌詞が、心のど真ん中にハマった。
なんて良い曲なんだろう…

一番で佑馬さん、二番で将さんがそれぞれ踊り、三番で二人が踊る構成だった。
――上海蘇州と 汽車に乗り――
佑馬さんの、大きさを感じさせる踊り。
どっしりした高い背が、空気を締める。
――ばかな別れが くやしいよ――
将さんの、スピードのある踊り。
歌詞の心情を汲み取った表現が、旅の情景を紡ぐ。

舞台左に、柚姫将。
舞台右に、龍美佑馬。
おそろいの着物の黄色が、舞台に明るく差し込んで。
愛しさと哀しさくるみ、迫って来る異郷の歌。

眼福だ。



漂う、土の香を嗅ぐ。
遠く、暮れていく風景に手を振る。

「無錫旅情」は、個人的な“帰り歌”に殿堂入りしました。

将さんが、副座長という立場になられて。
佑馬さんは、お芝居で老け役以外も増えてきたりして。
全体の変化の中で、このお二人の絡みはますます面白い。
歳は一回り離れてるけど、送り出しでもお隣にいるのをちょくちょく見かけたりして、けっこう仲は良さそう…かな?

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