都若丸劇団お芝居「下町人情」

2014.10.13 昼の部@三吉演芸場

都若丸さんについて、私が一番すごいなと思う所は。
「つい声をかけたくなる」感じがするということ。

若ちゃん!と客席の誰かが呼んだなら。
ホントに嬉しそうに、晴れた笑顔で、はいよっ!と答えてくれるに違いない。
そんな風に、ごく自然に思ってしまう、人懐こい笑顔。
見ていると心はそぞろ、呼びたくなる、「若ちゃん」!

写真・都若丸さん(10/12)


以前若丸さんに伺ったら、ショーの写真は掲載NGとのことだったので、送り出しより。
しかし、真正面からカメラ向けるのは慣れなくて、せっかく撮らせてくださったのにブレまくり。

7月の梅田呉服座での衝撃から、3か月。
三吉の、やや上品寄りの客席が、ワッと活気づくときがある。
恒例“ミックスジュースタイム”の前の、若丸さんのお喋りだ。
「夜中のラーメン、美味いよなぁ。わかる、あの時間に食べるのは美味いんです。でも、そうやって油断して食べてたらね、“都まん丸”になってしまうでしょ!」
とか。
「僕がネギ嫌いなんで、今でもみんな、あの手この手でネギ食わせようとするんです。ネギ食べたら頭がよくなるよって。でも、雅輝とか舞斗とかがネギ食べてるでしょ、あいつらが食べてるってことは、ネギで頭がよくなるってのはどうも信憑性が薄いんちゃうかって」
とか、実に楽しそうに話す若丸さんに、本気で笑い転げてしまう。

“楽しそうな都若丸”が見たい。
“はしゃぐ都若丸”に乗っかって笑いたい。

10/13(月)のお芝居「下町人情」は、そんな願望にぴったりの一本だった。
お話は、落語の「文七元結」。
(他の劇団だと劇団KAZUMAで見ている。これは名芝居だった)

大工(都剛副座長)は借金返済のため、妹(都ゆきかさん)を、女郎屋・蔦屋に預ける。
妹の身売りでこしらえた三十両を持って帰る途中、橋のたもと。
「お許しください旦那様、南無阿弥陀仏~!」
身投げしようとしている手代・文七(都星矢さん)に出くわしてしまう。
聞けば文七は、掛け取りのお金、三十二両を失くしたという。
情けに負けて、大工は文七に、大事な三十両をやるのだった。

主人公の大工が剛さんだったので、多分若丸さんの役は…と期待していたら。
中盤で舞台の明かりがつくと、ガタイのいい奥様が、箒を手にぷりぷりしていた。
「まったく何やってるのかしら、あの人ったら、とっちめてやらなきゃ!」
やっぱり、大工の女房・お勝の役。
つつましい着物に手ぬぐい被ってお掃除する様子が、やたらおかしい。

家に帰ってきた夫=剛さんが、一通りの話をする。
妹のお鶴を蔦屋に置いて三十両をもらったというくだりで、お勝は、
「かわいそうに、なんてこと…」
とつぶやく。
「お鶴ちゃんで三十両なら、あたしが行ったら六十両だわ!」
「なんでだよ!若くて色の白い女が三十両だぞ、歳のいった色黒が行って、なんで六十両になるんだ!」

しかし、妹を苦界に沈めてまで手にしたお金が、すでに手元にないと聞けば。
お勝は、手ぬぐいをぐりんぐりんとねじって鉢巻きにして、拳にハーッと息を吐いて、戦闘態勢。
「待ちなさい、あんた!ふざけんじゃないわよ!」
武器=座布団を携えて、客席に飛び降り、剛さんと追いかけっこ。

女物の着物のまま、鮮やかなシャドーボクシングを見せてくれたり。
そこから、連続腕立て伏せ(軽々とこなす!)に移行したり。
若丸さんの肉体派ぶりを味わっているうちに、大工の家には、大勢の客人が訪ねて来る。

客人は、文七と、文七の店の主人(都城太郎キャプテン)、そして奉公人たちだった。
文七の命を救ってくれた礼に来たのだ。
大工は、お勝が粗相をやらかしたらいかんと、
「飼っている猫ですから」
と、お勝を衝立の陰に隠してしまう。
若丸さんはゴロニャーなんて言いながら、何か企むように客席と見つめ合う。
舞台の隅の隅で、じたじたと暴れる大きな体のかわいさ。
衝立の上から、ひょっこり覗いたり。
出された礼金を、端から手ぬぐいで巻き取ろうとしたり。

若丸さんは次、何をやるんだろう?
みんなの期待を一身に集めて、コメディアンは、任せとけとばかりにほくそ笑む。

しかし私が一番笑ったのは、次のやり取り。
「お鶴ちゃんが三十両なら、あたしなら六十両だわ」
「まだ言ってんのか、お前は売れねえって言ってんだろ!」
という若丸さんと剛さんの言い合いを、都城太郎キャプテンがひょいと受けて、
「世の中には売れるものと売れないものがございます」
キャプテーン!
このお茶目には胸を打たれた。
すかさず、手ぬぐいをキャプテンに投げつける若丸さんも、大層可愛かった。

若丸さんの客席は、賑やかな宴会の席にいるみたいだ。
「舞台終わったら、もう体がヘロヘロですからね。鍋の中で最後まで残っててペラペラになった白菜みたいな状態ですよ」
と笑いをとった日。
二度もアンコールを受けて。
「もう僕はヘロヘロですよ皆さん、今、白菜ですよ!」
と汗まみれで言った後、
「でも、俺はやるよ!」
拍手喝采の中、二つ目のアンコールの曲がかかった。

その笑顔を見ると、心がほがらかに引っ張られる。
「人に好かれる」という強い強い才が、光るのを見る。

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