劇団花吹雪お芝居「馬の足玉三郎」①桜京之介座長の玉三郎編

2012.12.22夜の部@川越温泉湯遊ランド

写真・桜京之介座長(12/22舞踊ショーより)


同じ演目でも、劇団によって味わいは違うもの。
「馬の足玉三郎」は、劇団KAZUMAで今年8月に観て大好きになったお芝居です。
だけど劇団花吹雪の仕立ても、そりゃあ素晴らしかった。

今回も書きどころが多すぎてめっさ長くなったので、2記事になりました。
まずは京之介座長の演じた役柄から。

とある劇団の馬の足役を、一緒に務める兄弟の人情喜劇。
兄・玉三郎(桜京之介座長)は、顔がいまひとつで喧嘩も弱い(京之介さんの端正な顔、ガッツリ三枚目メイク!)。
だけど、ごん太眉毛の下から人の良さが滲み出る陽気者。
対して弟・海老蔵(桜春之丞座長)は、顔も喧嘩の腕っ節もぴか一。
ものすごく生真面目な性格で、何より兄思い。

ある日ヤクザに絡まれていた万屋のお嬢さん(小春あきなさん)を、助けに入った玉三郎。
だがあっという間にのされて気絶してしまう。
その間に海老蔵がヤクザ衆を叩きのめし、お嬢さんを助ける。
海老蔵に惚れたお嬢さんは名前を尋ね、
「俺はこの劇団で馬の足をしている玉三郎の…」
弟、と海老蔵が言い終える前に、
「玉三郎様。いいお名前…」
と早合点。

しばらく経って、楽屋に持って来られた縁談話。
万屋のお嬢さんが玉三郎と結婚したいという。
今までもてた経験のない玉三郎は喜色満面。
だがすぐに、人違いが発覚。
お嬢さんは本当は海老蔵のほうと結婚したいのだと、
玉三郎のような顔の男と結婚するくらいなら「かんざしで喉を突いて死ぬ」と…。

順を追って改めて書いてみると、ひどい話じゃありませんか。
玉三郎がかわいそうすぎるじゃないですか。
ぬか喜び束の間、縁談は人違いだったと、なかったことにしてくれと…

個人的に玉三郎の見せ場は、縁談がパァになった後、一人暗い楽屋で手鏡を見る場面。
鏡に映る自分の顔。
不細工と言われる、太い眉と青ひげ面。
――こんな顔じゃあ、無理もねえか…
玉三郎の失望の言葉が胸に迫る。
基本的に喜劇のこのお芝居の中で、たった一点、哀しみが凝縮された名シーン。

KAZUMAで観て感涙した場面だったけど、この日は京之介さん独自のテイスト。

京之介さん演じる玉三郎は、手鏡を握って。
でもすぐには見ないのです。
目を薄く開けて、ちら、と見ようとして。
でも結局見れずにパッと伏せる。
また意を決したように鏡をひっくり返して。
またパッと伏せる。

ちら、ちら、ちら。
恐る恐る。
自分の顔を見つめるのが怖くって。
お嬢さんに「かんざしで喉を突いて死ぬ」とまで断られたこの顔を。
ようやく正面から見た瞬間、ああ!と言わんばかりに両手で顔を覆う。

実際にはコミカルに演じられて、お客さんの笑いを取ってたんだけど。
私はどうしても哀しみ笑い。
京之介さんの全力の演技が玉三郎の滑稽さを助長して、さらに泣き笑い。

「馬の足玉三郎」に限らず、京之介さんのお芝居はいつも全力投球。
気合い、入れました!
魂、入ってます!
若い力が迸ってるようなお芝居。
その力がぐいぐいとこちらの心を引っ張って、気づけばお芝居の世界に入っている。

劇団KAZUMAでは藤美一馬座長が演じていた玉三郎。
これは水を得た魚のような、軽妙な三枚目だった。

そして京之介さんの渾身の三枚目・玉三郎は、
客席で観ていて肩を叩いてあげたくなるような、
そのうち絶対外見に惑わされない相手が現れるよ、大丈夫だよー!
と応援したくなるような。
なんとも愛すべきキャラクターでした。

さて次は春之丞座長演じる弟・海老蔵編だ。
このお芝居はなんと言っても、海老蔵というキャラクターの突き抜け感が面白すぎると思うので。
ウキウキしながら書けそうです。
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