破顔一笑―鈴木彩子さん―

“彩”って字は、なんて優しい姿だろう。
“あやこ”って音は、なんて温かな響きだろう。

今回は、大好きな女優さんの話をさせてください。

写真・鈴木彩子さん(個人舞踊「お嫁においで」2013/9/16@浅草木馬館)


↑の写真は、2013年9月の木馬館で見た個人舞踊「お嫁においで」。
ピンクの振袖、縞のパラソル。
くるくるくる、ピンクの笑顔が回る。
(この舞踊がツボすぎて、「2013年珠玉の一本」にも入れている)

彩子さんは、特定の劇団に常にいるわけではなく、時期を区切って色々な劇団に滞在されている。
私が聞いているだけでも、劇団KAZUMA、劇団秀、花柳願竜劇団…
でも大衆演劇以外の演劇にも出演されているので、いわゆる大衆演劇のフリーの役者さんとも、ちょっと違うのかな。

2013年5~9月は、劇団KAZUMAにお手伝いとしていらしていた。
私が初めて出会ったのは、 5月の広島遠征だ。
今は無き夢劇場で、あのスマイルに出会った。

「ここの藤美一馬せんべいは美味しくてね~、あたしはこれに目がなくて。この味、この味」
お芝居「浅草三兄弟」の冒頭の場面で、彩子さんは茶店の店子の役をやっていた。
店子なのに自分でおせんべいを食べるという、謎の展開(笑)。
その笑顔があんまり明るいもんだから、懐に飛び込んでくるもんだから。
一体何者なんだろう?と、興味を惹かれた。

続く舞踊ショーでの個人舞踊は、オレンジの着物でニコニコと踊っていた。
彩子ちゃん!とアナウンスがかかると、丸い頬のあたりに、ぎゅぎゅっと嬉しさが飛び跳ねる。
ときめきました。すごく。
「何あの可愛さ~!」
と、遠征仲間と大騒ぎした。

いつも、輪郭ごと弾けるように、ぶわっ!と笑ってくれる。
私は勢いづいて、「笑顔は他の誰にもない彩子さんの武器だと思います」とお伝えしたこともあるくらい。

思いきり明るくて、とびきり可愛くて、元気印!
…でも、この女優さんは、決してそんな一面だけで終わらないのである。

先日8/4(月)木川劇場で、「劇団秀」に出演中の彩子さんの舞台を、約1年ぶりに見た。
その夜の個人舞踊は、「化粧」。
中島みゆきの名曲の桜田淳子バージョン。

写真・個人舞踊「化粧」(2014/8/4@木川劇場)


白いお着物、赤の帯締め。
元気な彩子さんだけど、不思議と中島みゆきの曲が似合う。
――今夜死んでもいいから きれいになりたい――
哀しい歌声が、舞踊の底をしんしんと冷やしていく。

――流れるな涙 バスが出るまで――
そして、虚空をふー…っと見上げる。

この女優さんが、“見上げる”という動作に、いつも強く衝かれる。
子供が、何か知らないものに出くわしたときのような顔つきだ。
童心が、何か大きな暗がりに戸惑っているような目だ。

ぽっかりと、瞳に黒い穴。
ろうろうと、行き先の霧。

女優・鈴木彩子さんが立ち向かっているものの大きさを、私は知らない。
ただでさえしんどい業界で、しかも一人であちこちの劇団を異動していて、次々に新しい環境に適応しなければいけない。
想像を超える苦労があるのだろうと思う。
舞台の準備、人間関係、組織、もしかしたらぶつかる悪意も。

でも、そんなのはお客様には関係ない、と彩子さんはブログで書いていた。
そういうものも、全部全部昇華して。
舞台でお客様を魅せるのが仕事だと。

だから、彩子さんの笑顔はまた深くなる。
苦労や痛みをひっくるんで、小さな彼女の姿は、また優しくなる。



木川劇場では、「昭和枯れすすき」のコントをぐいぐい引っ張っていた。
「この毒で死にましょう、あなた!」
「毒」ってモロに書いた紙切れを、次々懐から引っ張り出す(笑)
勢いが炸裂している死にっぷりがおかしかった。

私を見て、ぱぁっと顔を輝かせて、再会をとても喜んでくれた。
私ごときの小さな声ではあるけれど。
おすすめの女優さんを聞かれたら、「鈴木彩子さん」と万人に答えることにしています。

彩子さんのブログに書かれている今後の予定は、以下の通り。
8月「劇団秀」@木川劇場
9月「逢春座」@かっぱ王国
11月「花柳願竜劇団」@鬼怒川温泉ホテルニューおおるり
12月「花柳願竜劇団」(場所は不明)

大衆演劇世界の濃さにへばったときは、彩子さんのことを思い出します。
こんな清らかに舞台に立っている人がいるというだけで、嬉しくなります。

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