都若丸劇団の衝撃

2014.7.19 夜の部・7.20 夜の部@梅田呉服座

ずんずん、ずんずん、進撃してくる。
群舞は広がって、広がって、大きな躍動が客席に迫って来る。
舞台上で、一体何人踊ってる?
13、14、15…
数えている合間にも、全員で傘をぴたりと揃えて閉じる。
くるり一回転すると、色とりどりの十数個の駒が、同時に回ったみたいに見える。

大衆演劇で、フォーメーションダンス!
驚いている合間にも、前列と後列が、鮮やかに入れ替わる。
そもそも前列・後列ができるほど、人数がいない劇団のほうが多いっていうのに…!

都若丸劇団は、見る前から「群舞がすごい」という噂を聞いていた。
そして初見の7/19(土)の夜。
どの群舞を見ても、組織としてすごく鍛えられている、ということがありありとわかった。
皆で、相当稽古しているのだろう。

特にラスト舞踊の「お祭りマンボ」は圧巻だった。
フォーメーションは、大きな三角形。
――私のとなりのおじさんは 神田の生まれで チャキチャキ江戸っ子――
軽快に踊りながらも、時計仕掛けのようにポジションを入れ替える。
三角形は、縮まったり広がったり。

その三角の頂点に、誰より激しく踊る、赤い着物。
仕掛けを動かす、真っ赤なトリガー。
都若丸座長。

若丸さんは、私の中で必ず見たい座長No.1だった。
「演劇グラフ」で写真を見ては、なんて引力のある目だろうと思っていた。

7/19(土)のミニショーラスト、曲はAcid Black Cherryの「黒猫 ~Adult Black Cat~」。
待ちに待った若丸さんを、初めてこの目で見る瞬間に、期待感が最高潮に達した時。
出てきた人が、ド派手な着物のフードを、バッと取った。

引力が、姿を現した。

「キャーッ!」
客席中から沸いた、凄まじい歓声。
盛り上がりまくる客席に、若丸さんは実に楽しげに笑いつつも、しなやかに踊る。
あれ?
私の喉も、何か叫んだ後のような感触が…
ええと、もしかして今の「キャーッ!」に私の声も含まれてたの?
生まれてこの方、そんなん言ったことないよ!

初見の客からも人生初の「キャー」を引きずり出した座長さんは、体の芯に熱く生命力を光らせて、汗にまみれた笑顔で踊っていた。
手拍子の波に乗りながら、ニカーッと…とにかく人好きのする感じの笑顔を深める。
この人を好きにならない人なんているんだろうか?

肝心要の、お芝居はというと。
7/20(日)の夜に見た「火の車」のインパクトが大きかった。
若丸さんは、死神の役。
題の「火の車」とは、死神の空飛ぶ乗り物のことだ。

おかしかったのは、死神が人間(都剛副座長)に、火の車の乗車マナー指導をする場面。
交通ルールに則って、他の火の車にどいてもらうときは、一声かけなければならないという。
「他の車どかすときは、わしの肩を叩いてみ」
言われるままま、剛さんが若丸さんの肩をドンと強く叩くと、
「どかんかい!」
と死神はドスの聞いた一声。
優しく肩を叩くと、
「どいてくれませんか?」
と丁寧な一声。
剛さんが面白がって、強弱を変えながら連続で叩く。
「どかんかい!どいてくれませんか?どかんかい!どいてくれ、どかん、どいて、どかん…」
壊れた機械のごとく繰り返す若丸さんに、場内は爆笑の渦。
「ど、ど、ど、ど、……いい加減にせえ!」
テンポが早く、綿密にエッセンスが組み込まれた笑いの生み出し方は、吉本新喜劇を彷彿させる。

私は、切羽詰まった人情と郷愁が絞り出される、やや泥くさいくらいの芝居が好みなので。
すっきり洗練された喜劇は、ど真ん中ストライクというわけではないのだけど。

私のちっぽけな好みなんか、吹っ飛ぶ。
都若丸が芝居している、踊っている、笑っている。
あの強烈な磁力は一体何なのだろう。
若丸さんが歯を見せて笑って、一つ手を叩く、それだけで差す光の明るさに焼かれる。

これだけまばゆい座長さんがいて、しかも若手も人数が多いのに。
一人一人、ちゃんと客席の目を引き付けるのだ。

たとえば、前売り券販売中、舞台では誰かが歌うというコーナーがある。
7/20(日)の夜は、あきらさんが歌の担当。
サザエさんの絵をいっぱい描いてきて、絵をサザエさんの替え歌にして歌うという演出に、場内は大笑いだった。

“自分の舞台”という責任感が、一人一人に強いのだろう。
どの人も、梅田呉服座の広い客席を、しっかりエンターテインする。
座員さんが、自分たちの成長を確信している組織というのは、なんて明るく、伸びやかなのだろう。

10月、都若丸劇団は三吉演芸場に来てくれる。
だから梅田での2日間は、私にとってはまだ序章だ。
私がきっとその魅力を噛みしめられるのは、3か月後の三吉。



近い再会に身震いがします。

普段は送り出しの写真は撮らないのだけど、若丸さんにショーの写真掲載について伺ったら、「ごめんなさい、お見送り以外の写真は載せられないっていう変な決まりがあるんですよ~」と申し訳なさそうに仰っていたので。
しかし、この送り出しの写真一枚見ても、ポーズのかっこ良さ極まりない!ですね!

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ありがとうございます(*^_^*)
若丸さんを初めて観たときは衝撃でした…まさにキングの風格!客席全部を一瞬でつかんでしまうんです。
とっても楽しいコメディアンみたいな方でもあります。

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