柚姫将さん個人舞踊「旅路」(劇団KAZUMA)

2014.6.21 夜の部@八尾グランドホテル

帰っていく。
巻き戻していく。
夜霧に霞む“おもいで旅路”を、心だけさかのぼっていく。

――あゝおもいで旅路の途中下車のひとコマ――

将さんの姿からは、やっぱり胸を突く郷愁が立ち昇る、と私は思う。
かざす腕は、物寂しさを引き寄せるようだ。

写真・柚姫将さん(「旅路」より)


藍色の着物もノスタルジック。
じんと痺れる、杉良太郎の低音。
視覚的にも聴覚的にも、溢れる郷愁が将さんの風情と心地良く重なっていて、私はホー…ッと息をついてしまった。

――誰が呼ぶのか誘うのか
時雨ふるわせ鳴る汽笛
二度と帰らぬ人を乗せ
夜汽車は走る――


歌詞は、追憶を汽車になぞらえる。
男の人生に立ち寄った、女の思い出を振り返る歌だ。

――このまゝじゃお互いに傷つけあうだけ
駄目になる
まだ今なら憎まず 好きで別れられると
オレに泣いたおまえ――


眉を寄せて遠くを見やり、動きを緩めてたたずむ。
と思えば、苦い思い出を振り切るように、拳を打ち合わせる。
その臨場感にフッと引き込まれて、男の“汽車”に、片足乗りこんでいる気分になる。

――通りすがりの縁日で
買った小ちゃな髪飾り
どこのどなたの土産やら
暮れゆく秋よ――


八尾グラの高い天井に、黄昏の空が広がるのを見た。

なんでこんなに、ストーリーが明確に感じ取れるのだろう。
ご本人の細やかな工夫はもちろんだけど(本当に芸が細かくて毎回びっくりする)。

元々持っている姿形とか雰囲気にも、依るところが大きいと思うのだ。
高身長ではないけど小柄でもない、中背の姿はどこか線が柔らかく、語りかけるものがある。
哀切のある目元が、静かに歌いだす。
将さんの舞踊には、自然と一本の糸が引かれて、埋め込まれた物語を、絶えず掘り起こす。

――なぜ話してくれない一人泣いたその訳
オレが惚れたおまえ――


見ながら、思いだした。
最近、将さんファンの方が、このブログにとても素敵な公開コメントを残してくれた(ありがとうございます!)。

“将ちゃんのお芝居は私自身もそこに連れて行ってくれますよね(^_−)−☆”

自分自身もそこに連れて行ってくれる…それだぁ!と思った。
頭からその世界に入ってしまうような、幕が閉まるのがもったいないような、私が言いあぐねていた感覚を、ぴたりと当てていただいた。

私の浅見だけども。
私が見始めた2年前よりも、将さんの紡ぐ舞台には、ストーリー性がさらに前面に現れてきて。
落とされる熱は、さらに心の深いところを走っていくようになった。
歳月とともに、変わっていく。
日々、進んでいく。



この役者さんの、「1年後」が見たい。
「5年後」が見たい。
「10年後」が見たい。

その変化の過程を、芸に織り込まれる人生の諸々を、同じ時代のファンとして、ともに楽しみたい…
舞踊ショーの余韻を抱えて、大阪から東京への夜行バスの中で、私はそんなことを考えていました。

あと、追っている中で自分自身もぼちぼち精進しよう(笑)
人間的にも、文章的にも。

八尾グランドの客席でも、感謝すべき素敵な出会いがありました。
遠征を賑やかにしてくれた、親子のファンの方。
役者トークに花が咲いた、休憩時間の楽しかったこと!

次、KAZUMAの客席にいられるのはいつになるだろう…と思っていたところ。
やって来た、夏休みの旅行の誘い。
「今考えてる行き先はね、和歌山なんだけど」
……縁は異なもの。
というわけで8月にはぶらくり劇場編をお送りしていると思います。

にほんブログ村 演劇ブログ 大衆演劇へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト

コメント

こんにちは(^。^)
お萩さんのお陰様で、劇団一馬さんのお芝居が更に深いところまで心に響いてくるようになりました(^。^)
ありがとうございます。

最近の将ちゃんの舞踊は、何か違うなぁ?って感じてたのですが、私的に、後ろ姿で語りかけてくれる姿のせいかなぁ?って数秒なんだけど、心が現れてる感じ(≧∇≦)
で、、、振り返った時に何故かいつもドキッ😍ってなっています(笑)
上手く伝えられなくてすいません。
また私なりに、新発見があればお伝えしますね^ - ^

ではまたブログ楽しみにしています(^.^)


>あん様

こんにちは!
以前いただいたコメントに共感しまくったもので、記事に使わせていただきました。

将さんの後ろ姿ですか!
今度から私も着目して見てみます(*^_^*)
「こんなお芝居が良かった」「この舞踊の表情が良かった」…
そういう感想を聞くのが、好きで好きで。

良いお芝居、良い舞踊……客席みんなで、ともに楽しんでいきたいですものね。
私の文章が、少しでもあんさんに響くところがあったなら、本当に嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)