まな美座お芝居「祭り太鼓に泣く親父」・2

2014.4.12 @メヌマラドン温泉ホテル

島崎寿恵さんの圧巻の演技について、ウキウキ語っている①はこちら。
今回は、芸達者な男優さんお二人の話をしたいです。

まず、里見剣次郎さん。
(0481.jpやブログでは剣次郎さんが座長となっている)

剣次郎さん演じる佐太郎親方が、舞台右手から現れて、第一声。
子方の大工・虎五郎を、少し困り顔で注意する。
「虎五郎、お前はまた…」
…その一言で、極めて良い声にびっくりさせられた!

写真・里見剣次郎さん(当日個人舞踊「黒い花びら」より)


「ねえお島、あの人は、私にとっては大事なおとっつぁんなんだよ」
ただ聞きやすい、きれいなテノールの声というだけではない。
体の底から出て、確かな重みを持って響く。
一方で、ターンと風を打つような爽快さがある。

まな美座の芝居はDVDで見ていたから、剣次郎さんという方は良い声なんだなぁと思っていたけど。
生で聞くと全然違う!全然!

「お鷹は私が苦しいときに、一緒にいてくれた。苦労を半分にしてくれた。それなのに、私が仕事ばかりで淋しい思いをさせてしまったのがいけないんです」
「おとっつぁん、またいつでもうちに来てくださいね。今度はおっかさんも一緒に。おとっつぁんが来ないときは、私たちが迎えに行きますからね」

劇中、剣次郎さんが喋る箇所は、自然と真剣に耳を傾けていた。

私はお芝居での声にやたらこだわりが強いので、ちょっと余談。
最近読んだ演劇の本に、あるフランスの名優が、レストランのメニューを読み上げただけで人々を感涙させたという説話が載っていた。
これは伝説じみてるけど、良い声を持つ役者さんって、本当に何を言っても心に響く。
このブログで書いたことのある美声の持ち主といえば、劇団花吹雪の桜春之丞座長とか、剣戟はる駒座の宝華紗宮子さんとか。

初めて見た里見剣次郎さんも、頭の中の“美声の役者さん”カテゴリに入れておこう。

それから、子方大工・虎五郎を演じていた市川新さんも忘れがたい。
虎五郎と、寿恵さん演じるとっつぁんが酒盛りする場面は、私的に一番見応えがあった。

写真・市川新さん(当日舞踊ショーより)


寿恵さんが、頭から足の先までお爺さん!という感じの憑依っぽい演技なのに対して。
新さんの演技には、虎五郎役との間に少し距離を置いた、冷静さが絡まっている印象だ。

「いけねぇ、忘れ物しちまった」と親方の家に戻って来て、一人留守番していたとっつぁんと鉢合わせ。
「やい泥棒、何やってんだお前、勝手に酒まで飲みやがって」と観違いして騒ぐも。
親方の舅だとわかると、「すみませんでした、おとっつぁん」と地に伏してぺこぺこ。

そんな、うっかり者の虎五郎のキャラクターだけど。
新さんのセリフ回しは、どこか茫洋として、頭からのめり込まない。
でも、なんだか、茫洋さを保ったままの独特の勢いがあるのだ。

たとえば、べろべろに酔った虎五郎が、とっつぁんにも次々と酒を注ぐ場面。
「飲みねぇ飲みねぇ、寿司食いねえ、あ、ごめんちょっと零した、さぁ飲みねぇ」
“ちょっと零した”と言いつつ、演技なので徳利もおちょこも空っぽ。
新さんの創り出す、つかみどころのないペースは、のんびりしているようで、虎五郎の酔い加減に合わせて段々加速する。
「酒癖が悪いのう、お前…」と困惑顔のとっつぁんと一緒に、舞台全体が虎五郎のペースに巻き込まれていた。

最後に、4/12(土)は、舞台以外でもとっても幸せなことがあった。
昨年夏に客席で知り合った群馬の友人と、再会できたことだ。
「ショーがどんなに華やかでも、やっぱりお芝居が良くないと」と、各劇団のお芝居を重視する彼女は、群馬や東京に来る劇団のお芝居を、常々しっかり見ている。
開演前に、彼女とお芝居トークで盛り上がれたのは何よりの喜びだった。
「主役が手前で喋っているとき、後ろの方でちゃんと“話を聞く演技”をしている若手さんには目が行くよね!」
と私が言うと、共感してもらえたのが嬉しくって。
改めて、ありがとう!

まな美座、熊谷は遠いけど今月もう1回くらい、なんとか行けないかな…。

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