章劇・梅乃井秀男さん個人舞踊「水色の手紙」

2014.3.15 夜の部@浅草木馬館

線の柔らかな、ほっそりした“女の子”だった。
軽やかに踊り出たとき、振袖がひらひら楽しげに遊んでいた。
揺れる振袖は、パステルカラーの水色。

写真・梅乃井秀男さん(「水色の手紙」より)


1年ぶりの章劇、したがって梅乃井さんの女形舞踊も1年ぶりに見た。
可愛いなぁ!と声を上げてしまいたくなるくらい、うっとり愛らしかった。

―お元気ですか
そして 今でも
愛しているといって下さいますか―


なだなかな眉、白い花の髪飾り、赤い唇にちょんと小さく乗っている笑みの形。
踊りの振りは小さめに、あくまで上品に。
淡く、ロマンチックに、リリカルに。

生身の女性の持つ湿度を、完全に打ち消して。
現実味がないくらいに、そっと客席を指す指先まで、透明感に満ちている。

浮かぶ既視感。
なんだかレトロで懐かしい…
あ、親に借りて読んだ、昔の少女漫画だ。
背後に花びらとキラキラのスクリーントーンが飛ぶ、甘い空想の世界だ。

―みずいろは涙いろ それを知りながら
あなたへの手紙を書いてます―


梅乃井さんは、目が大きくて丸みがあるせいか、風貌そのものがどこか少女めいていて。
滑らかな動作と、着物の水色が相まって、その容色は儚い。

梅乃井さんは、私が昨年2月に初めて章劇を見たときは、既にいらした。
そのときは、傘を使った立ちの踊りだった。
後で苦労人だと聞き、凛然とした眼差しの強さを思い出した。

でも昨日、私の目に映った梅乃井さんは、ひたすら可愛くて柔らかくって。


―誰からも恋をしているとからかわれ
それだけがうれしい私です―


乗り越えてきたものの大きさを、どこかに置いてきたように。
曲の流れる約3分間、この間だけは、“女の子”の顔になる。
可愛い動作、可愛い衣装、可愛い表情が、水色に溶けて、心地良く舞台に座る。
夢のミニチュアのような“女の子”。

見た後もしばらく、幸福感が胸に残っていた。
優しい味わいのお菓子をつまんだときみたいな、ほどける幸せ感が。

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