剣戟はる駒座〈倭組〉・勝小虎さん個人舞踊「ひばりの佐渡情話」

2014.2.11昼の部@大島劇場

―島の娘は なじょして泣いた―
悲し、遠し、佐渡の面影。

写真・勝小虎代表代行(当日個人舞踊「ひばりの佐渡情話」より)


小虎さんの女形舞踊は、こないだ「夢日記」を書いたばかり。
重い歳月が身の内に降り積もったような女性の舞踊に、陶酔した名残がまだあるのに。
たった2日後にアッサリまた魂抜かれてしまったので、再び綴ります。
今度は、佐渡の娘のかなしみの舞踊。

倭座長は美空ひばりさんが大好きらしく、この日の舞踊ショーは「美空ひばりメドレー」。
小虎さんの「ひばりの佐渡情話」は、ショーが始まって2番目だった。

着物は深い灰色だけど、空色の襟がみずみずしくて“島の娘”らしい。
息を飲んだのは、滑らかな動きの向こうに、ふぅっと風景が浮かぶことだ。
歌詞に語られる、佐渡の曇り景色が、おぼろげに現れ出る。

―佐渡の荒磯の 岩かげに
咲くは鹿の子の 百合の花―


虚しいばかりの波の荒れ。
淋しいばかりの花のほころび。

舞台右手から中央を向いて。
小虎さんの両手が、波の形を作って、遊ぶみたいに揺らされる。
ざんぶ、ざんぶ。
反らされる手の甲。
その手招きにも似た形は、伏せられた眼差しと、蠱惑的に交わる。

と思えば、くるっと後ろを向いて、顔を覆う。
泣き濡れるように、舞台端に膝を折る。
―花を摘み摘み なじょして泣いた―
ゆるく結わえられた黒い鬘が、体を包むように背中に流れる。
舞台の絵は、娘の思いを含んで、澄んで清らか。

撫ぜるのは浜の風。
寄せるのは波の声。

―恋はつらいと いうて泣いた―

そして滲むのは、涙の風情。

―わしもひとりと いうて泣いた―

墨絵のような風景を紡ぎ出すのは、小虎さんの柔らかな所作だ。
情感のひとひらを、薄くかすかに、指に乗せて。
着物の裾をつまんで客席を振り返れば、色がふるりと立ち昇る。
限りなく霞んで、消えてしまうひとつ手前の、こごりのような色。



終わった後も、舞踊の余韻と歌が混ざり合って、耳の中にこだましていた。
しまの むすめは なじょして ないた…

ああ~…良いものを見られた。
美しいものを見られたなぁ。
「眼球が喜んでる…!」
思わず、口から漏れた一言である。

にほんブログ村 演劇ブログ 大衆演劇へ
にほんブログ村

関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)