剣戟はる駒座〈倭組〉お芝居「嵐山の夕暮れ」

2014.2.2 昼の部@大島劇場

心底やりたいことをやっているとき、人間ってあんなにエネルギッシュになれるんだなぁ。
と、不動倭座長を見ると思う。

写真・不動倭座長(当日個人舞踊「竹とんぼ」より)


旗揚げからまだ5カ月だし、馴染みの薄い関東だし、大変なことは一杯あるだろうに。
ひたすら全力で楽しそうなのは、自分のカラーを思いきり出して、自分のアイディアを思う存分活かしているからなのかな。

2日目のお目当ては、喜劇「嵐山の夕暮れ」。
はる駒座では初めて見た現代劇。
プラス、劇中劇。

一美(勝小虎さん)と志保(叶夕晏さん)の夫婦は、一美の母(宝華弥寿さん)を邪険にしている。
嵐山にピクニックに来ても、重い荷物を全部お母さんに持たせたり、お母さんの座る場所を用意しなかったり…。
夫婦の仕打ちを見かねた妹(叶夕茶々さん)は、役者3人に依頼をする。
兄夫婦に薬になる、親孝行の様を見せてやってほしいと。
この役者が、倭座長・勝彪華さん・宝華紗宮子さんの3人。
彪華さんと紗宮子さんが若夫婦のフリをし、倭座長が彪華さんのお母さんのフリをする。

「あんたらな、年寄りのペースに合わせるのが基本や!自分らばっかりホイホイ先に行って、年寄りのことを考えとらんのがいかん!」
倭さんの“お母さん”が、もじゃもじゃ鬘にニットスカートで、若夫婦を容赦なく怒鳴りつける様に、笑い声が起こる。

そして倭さん、客席に何度も、何度も、降りて来る!
たとえば、
「あんたらがお茶も用意できんならなぁ、お母ちゃん自分で買うてくるわ!あそこの売店でお茶買うてくる!」
と舞台から駆け降り、客席の間の隙間を抜けて、後ろ正面の売店まで一直線。
そして本当に売店でお茶をもらって(笑)、また舞台へ猛スピードで戻って行く。

加えて、“お母さん”を追う彪華さんと紗宮子さんも降りて来て、客席を駆けまわるもんだから。
気づけば、こちらは目で一生懸命3人を追いかけていて。
小さな大島劇場が、いつしか舞台の上の嵐山の行楽風景に飲みこまれていった。

それから、このブログ的には外せない悪役観察。
小虎さんと晏さん演じる夫婦は、悪役っていうか憎まれ役。

写真・勝小虎代表代行(当日ミニショー「お釈迦さま」より)

修験道の行者服をこんなにかっこよく着られる人がいるとは…

「お母はん、なんで水筒家に置いてくんの!最後に残っとるの見てるんやったら、意地悪せんと持って来てやったらええがな」
小虎さんの演技はもう、冷やりとするほどのリアリティだ。
弥寿さん演じるお母さんに対し、露骨に叩いたり悪口を言ったりするのでなく、あくまでお母さんが悪いかのような言い方をするところが。
「若い志保が喉乾いたって言うてんのや。ちゃちゃっとせんといかんで、ちゃちゃっと!」
そんなところが、生々しくてたまりません。
「…お母はん、この弁当一緒に食べるつもりなん?」
――お母さんいびりが極点に達するこのセリフがサラっと出たときは、本気で肝が冷えた。
うわぉ。

そしていま一人、リアルな演技を見せてくれたのが晏さん。

写真・叶夕晏さん(当日個人舞踊「夏恋囃子」より)


晏さん演じる奥さんは、直接のいびりには加わらない。
むしろ常時困り顔で訴える。
「水筒、キッチンに置いてあったの見たでしょう?」
「だってお母さん、いっつもパンしか食べないじゃないの。だからてっきり要らないと思ったのよ」
“わがままなお母さんに困らされている”という風体を夫に見せるのが、やり方。
もちろん、夫が自分を庇ってお母さんにきつく当たることは織り込み済みなのだ。

劇団の人数は少ないけど、一人も残らずお芝居が安定しているっていうのは、究極の贅沢なんじゃあないだろうか。

しかし〈倭組〉の皆さま、いっっっつも笑顔!
本番中も送り出しでも、絶えず、寸断の緩みもなく、全員、笑顔!
これだけで偉業だと思う。

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