劇団KAZUMAお芝居「孝行小判」

2014.1.3 昼の部@京橋羅い舞座

登場時間は、わずか10分にも満たない。
なのに強烈な笑いの種を残していったのが、華原涼さんの十手持ち役だ。
殺人の現場に呼ばれ、仏の体を確かめる。
神妙な顔で振りむいて、
「死んでるじゃないか!」
だから呼ばれたんでしょうに…!(笑)

写真・華原涼さん(当日舞踊ショーより)

涼さんの女形は帯飾りとか頭飾りとか、キラキラした小物がいつも楽しみ。

遠征2日目、「孝行小判」はよくやるお芝居らしいのだけど、私は初見。
かしましい大工さんたちのお話だ。
次期親方の源吉(柚姫将さん)、親方のお嬢さんと恋仲の清吉(冴刃竜也さん)、新入りの三公(藤美一馬座長)。
この3人の大工の、わちゃわちゃした諍いを中心に進む…と思いきや。

親方(龍美佑馬さん)が、お嬢さん(霞ゆうかさん)と清吉の仲を認めた辺りから、雲行きが怪しくなってくる。
お嬢さんを慕っていた源吉には、苦い嫉妬の火がつく。
「どれだけ俺が、あのお嬢さんに恋焦がれていたか…」
「清吉がお嬢さんといちゃついてる横で、親方の仕事なんてできるか!」
そして、源吉の手には尖った大工道具。
不意を突かれた清吉は、あっけなく倒れ伏す。
のんびりした大工さんたちの風景は、殺人事件に変化してしまうのだ。

ここに呼ばれるのが涼さん演じる十手持ち。
親方・お嬢さん・犯人である源吉に囲まれて、きりっとしまった顔で清吉の亡骸を調べる。
その様、いかにも切れ者そう…
が、凛とした声で告げる言葉は、
「実はこういう事件は初めてなんだ!」
ええー。

そこでもう一つの事件が発覚する。
親方の家から、大枚の小判が盗まれていたのだ(盗みの真相は事前に観客にはわかるようになっています)。
「きっとこの盗みの犯人も、清吉を殺した奴と同じに違いありません」
源吉が、しれっと何食わぬ顔で申告するも。
涼さんの目が、驚愕に丸く開いて。

「ちょっと待てどういうことだ、殺しのほう一つだけでも大変なのに、二つもあるのか!」
「殺しも盗みも、こっちもあっちも、二つも解決しなきゃいけないのか!」

このセリフと涼さんの表情が、何より私のツボに入って。
観劇後、友人と何度このセリフを言い合ったかわからないくらいだ。

しかし涼さんの三枚目役は、なんであんなに爆発力があるんだろう?
思うに、あの太い良い声の果たす役割が大きいのじゃないかな。
品のある、重低音の、風格すら醸し出す、全てを承知したような声。
それで言う内容が、
「二ついっぺんにやるとわけがわからなくなるからな。まずは殺しのほう、一つだけに集中させてくれ!」
……このギャップがどかんと来る。

言うなれば、漫画『銀魂』のハードボイルド刑事のおかしさと同じ原理だ。
“その顔は絶対仕事できる奴の顔だろう!なのにどーして全然できないの!”っていう笑いの生み方(『銀魂』知らない方ごめんなさい)。

ところで「孝行小判」は、他の劇団さんでもよくやる定番のお芝居だそうですね。
先日、長いこと尊敬していた、文筆家の橋本正樹さんとお話しする機会に恵まれまして。
橋本さんは11月に新開地で劇団KAZUMAをご覧になって、そのときのお外題がこの「孝行小判」だったとのこと。
三河屋桃太郎さんや博多淡海さんなど、歴代の名優さんたちが演じてきたお芝居だと伺った。

筋自体の膨らみが大きくて、三公のとぼけぶりや源吉のしたたかさなど、キャラクター的な見せ場がいっぱい。
だから、そのときの舞台の空気で誰にでもスポットが当たりそうな気がする。
劇団KAZUMAでも再度観たいし、他の劇団さんでも観てみたいな。

「今年は喜劇を中心にやっていきたい」と話されていた藤美一馬座長。
特にお正月公演は、喜劇づくしだった。
KAZUMAの安らかな喜色の風景を、文章に乗せるのはなかなか難しいけど、少しでもあの温もりが伝わることがあれば幸せです。

次の記事は遠征3日目、ちょっと切なさ混じりの恋のお芝居でした。

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