劇団KAZUMAお芝居「男一匹千両のぼり」&新年のご挨拶

2014.1.2 昼の部@京橋羅い舞座

彼らの舞台を見るまで、私たちの新年は明けまい!
そう語った相手は、いつもの遠征友達。
二人して新宿駅から元日深夜の夜行バスに乗り込んで、朝、目覚めればそこは浪花の街。
初めて訪れた京橋・羅い舞座の客席には、カラフルな座布団が楽しげに並んでいた。
ブランチのトーストをかじりながら、うずうずと12:00開演を待ち、ようやく開いた幕の向こうは劇団KAZUMAの三番叟!

写真・当日ミニショー「三番叟」より


というわけで、1/2(木)~1/5(日)、ずっと楽しみにしていた京橋遠征に行って参りました。
今回見た4本のお芝居は、たまたま全て初見のものだった。

遠征初日のお外題は、「男一匹千両のぼり」。
幸運だったのは、しょっぱなから柚姫将さんの悪役が見られたことだ。
しかも、容赦なく、清々しいまでに真っ黒な、同情の余地のないタイプの悪役。
正月2日目から、(私にとっては)なんて縁起のいい!

写真・柚姫将さん

せっかくなので、凛々しい三番叟のお写真から。

将さん演じる源十郎は、やくざ一家の代貸し。
親分(華原涼さん)の妻である、おしん(藤美真の助さん・女役!)と間男している。
「あの親分がいなくなれば、この家は俺たちのもんだ…」
野望のため、源十郎とおしんが虎視眈々と狙うのは、親分の妹のおぬい(霞ゆうかさん)が持っている、大事な家系図だ。
家系図を持って逃げたおぬいを、源十郎は追いかける。

「かわいがってやるぜ…」とか「コラてめぇ!」とかチンピラ全開のセリフに、将さんの悪役に特有の、低音の巻き舌が絡むのが聴いていて心地よい。
幕間で、隣席の友人も「あの巻き舌は良いよね」と耳打ちしてきて思わず笑った。

序盤はダークな悪企みの場面だけども、中盤に渡し守の老人・甚兵衛(藤美一馬座長)が登場してから、一気にこのお芝居は喜劇になる。

写真・藤美一馬座長

新年一発目の更新なので、お写真も普段より多めに。

甚兵衛は逃げてきたおぬいをかくまい、追ってきた源十郎を足止めする。
この足止めの仕方が傑作なのだ。
「ここら辺りに、十七、八歳の娘が逃げてきただろう―」
と源十郎が言うが早いか、
「十七、八歳…!わしもあの頃は良かったなぁ、元気いっぱいじゃった、今じゃ八十歳じゃ」
と、甚兵衛はとぼけたようにまぜっ返したり。
「だからな、十七・八歳の娘がここに―」
「十七、八と言えばなぁ、わしはモテてモテてなぁ、そりゃあもうなぁ、いや、あの頃は良かった…」
と述懐を始めたり。
源十郎はなんとか話を進めようとするも、“十七、八歳”のところで必ず甚兵衛の茶々が入るもんだから。
なんとかして「十七、八歳の娘がここに来ただろう」って最後まで言い終えるのが目的みたいになっていて…あれ、何やってたんだっけ?おぬいは?(笑)

それから一番面白かったシーン。
源十郎に家系図を奪われてしまっても、甚兵衛は少しも慌てない。
「ありゃあな、偽物じゃ。見てみい、赤いじゃろ、派手じゃろ、あんなもんが本物のわけあるかい」
息子の佐太郎(冴刃竜也さん)を引き寄せながら、源十郎に聞こえよがしに言う。
「いけんいけん、悪い奴が聞いとる、こっち来い、こっち」
一馬座長は竜也さんの腕を引っ張って、ずいずい舞台の端っこへ。
そして、客席へトコトコ降りて来る!
「本物の家系図はなぁ、ちゃんと親分からわしが預かっとるんじゃ」
「ほらコレじゃ、黒いじゃろ、あんな偽物とは重みが違うじゃろ」
打ち明けつつ、客席をぐるーり一周。
羅い舞座の客席の視線は、ひそひそ話をする一馬座長と竜也さんを追っていて、次第にさざめきのように広がる笑い。

「十七、八歳の娘…」の場面にしても、家系図の偽物本物の場面にしても。
一馬座長は、一見ありきたりな会話の中で、ふいとおかしみを膨らませる。
いかにも笑いのポイントが用意されていそうなところじゃなく、そこで?!そこで笑い取るの?!みたいな箇所で仕掛けてくるから油断できない(笑)
今まで観たのも含めて、KAZUMAの喜劇は、ドラマツルギーからひょっこりはみ出した部分におかしさが詰まっていると思う(例・「馬の足玉三郎」)。

それで最終的には、源十郎とおしんの裏切りは親分にばれる。
源十郎は、親分と若衆3人の白刃に晒されて、絶体絶命。
将さんの、
「俺一人、正月2日目から悪者ってことかよ…!」
という苦い呟きは、客席にしっかり笑いを起こしていた。
初日から良いのに当たったなあ…

舞台の後は、KAZUMAの皆さまと、再会できた常連さんに、「明けましておめでとうございます」とご挨拶して。
ようやく、お萩の新年が始まりました。

そして、今年もこのブログを読んでくださる方、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
大衆演劇にハマって1年半、お芝居にも舞踊にも、客席の親しさにも、私はますます強く惹きつけられるばかり。
舞台に客席に、絶え間なく現れる人間の姿のやさしさ、心のあり様。
それらが語られることなく、明日にはあぶくのように消えてしまう。
それがあんまりもったいなくて、ただ自分の感性一つで、感じたことを綴っています。
2014年もコツコツ勉強しながら、あくまで心楽しく、書いていきます。

まずはしばらく、KAZUMA遠征@京橋の記事にお付き合いくださいませ。

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