劇団KAZUMAお芝居「三つの魂」

2013.10.14昼の部@篠原演芸場

「三つの魂」は、先月の木馬館に引き続き、二回目の鑑賞。

「この話って、変えられない宿業を描いてるみたいだね…」
一緒に観ていた友人が、終演後に漏らした言葉が気になった。
「どういうこと?」
「<裁かれる者><裁く者><見ているしかない者>っていう三つの宿業が、18年前と18年後で繰り返されるんだと思うよ」
彼女の感想に、目から鱗が落ちた。
なので今回は、それをそのまま書かせていただきます。

伴天連鬼十郎(藤美一馬座長)・政吉(龍美佑馬さん)・お菊(霞ゆうかさん)の三兄弟は、天草で生まれ育った。
キリシタンだった親は役人に引っ立てられて、虎に食い殺されるという悲惨な刑に処された。
幼かった三兄弟は、それを目の前で見ていた。
三兄弟は天草から北上する旅の途中、散り散りになった。
――18年後、江戸で再会の時が訪れる。
お菊は髪結いの妻に、政吉は十手持ちに、そして鬼十郎は盗賊になっていた。

お芝居後の口上の後、隣席の友人が語ってくれた解釈によれば。
18年前…<裁かれる者>=三兄弟の親 <裁く者>=天草の役人 <見ているしかない者>=幼い三兄弟
18年後…<裁かれる者>=鬼十郎 <裁く者>=政吉 <見ているしかない者>=お菊
「変えることのできない宿業が、そのまんま三兄弟に移し替えられてるよね。そこがどうしようもなく悲しいんだなあ…」
なるほど!

ここまで話して、どちらともなく呟いた。
「こう考えると、一番辛いのは<裁く者>になっちゃう政吉かもね」
「うん、だって、憎んでも憎み切れない親の仇と同じ立場だもんね…」

というわけで、今回の写真は政吉を熱演されていた佑馬さん。

写真・龍美佑馬さん(当日舞踊ショーより)


「俺の話も一通り、聞いてもらいたい…!」
親の敵である十手持ちになったことをお菊に責められ、そうじゃあねえんだと哀しそうに諭す。
喉の奥から、響く、というか轟くような叫びが叩きつけられる。
この、「本気で演じている」熱っぽさが劇団KAZUMAのお芝居っぽい。

政吉が十手持ちになったのは、自分を拾って育ててくれた役人への恩返しのため。
加えて、兄妹探しにも役立つだろうと思ってのことだった。
しかし政吉は、盗賊である鬼十郎を引っ立てなければならなくなる。
「なんて、ことだ…」
「兄妹を見つけようと思って持ったこの十手が、兄を捕えることになるなんてな…」
十手を見つめ、政吉が零すつぶやきはなんとも切ない。

脱線して佑馬さんについて書くと、東京公演での佑馬さん、すごく活き活きしているように見える。
老け役の巧みさについては、前も書いたことがあるけど。
東京公演では老け役を美影さんがされることが多いため、佑馬さんは二枚目役とか敵役が増えている。
すると、男前の魅力がどんどん前面に出てきている感じ。
口上とか集団舞踊での活躍も、俄然多くなっているし。
周りのお客さんと話していても、「佑馬さん、かっこよくなったねえ!」「パワーアップしたねえ」と言う人が多い。
個人的には、佑馬さんの憎々しいまでの敵役が好きだ。
ラストショー「曽根崎心中」の九平次とか、10/21(月)のお芝居「兄弟仁義 男の祭り」(そのうち感想記事を書く予定)での敵の一家の若衆とか。

「三つの魂」の話に戻る。
「宿業の移し替え」というキーワードで、友人とは大いに盛り上がった。
お芝居を観てるのも楽しいけど、お芝居の話をするのも同じくらい楽しい!

ちなみに私には、やっぱり木馬館で観たときと同様、伴天連鬼十郎(藤美一馬座長)と、育てたおやっさん(美影愛さん)の絆が響いた。
特に篠原演芸場バージョンでは、美影さんのセリフで、とても象徴的な一片があった。
「鬼十郎、お前の言う約束っていうのは、お前の信じる神様との約束かい、それとも俺との約束かい」
その二つって、同じことじゃあないんだろうか。
辛酸を舐めてきた大盗賊の、たった一粒の心の灯り。

それにしても、他の人のお芝居の感想聞くのって面白い。
同じ客席にいるのに、自分と全く違う観点を知れる。

このブログを読んでいる方も、よろしければお暇なときに、自分の観られたお芝居の感想を教えてくださいませ。
時折コメントや拍手コメントで、「このお芝居で自分はここで泣きました」とか、「別の劇団も同じお芝居をしますよ、そちらも良いですよ」とか教えてくださる方がいると、本当に嬉しいです。
ありがとうございます!

もう、ずっとお芝居の話してたいなぁ…。

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コメント

お久し振りです

いつも楽しく拝見しています。臨場感溢れたリポートは毎回感心しています。さて、筆無精でコメントはこのブログ以外には書いたことがないのですが、芝居についてコメントがいただきたいと書いてたのでちょっとコメントしたくなりました。劇団紫吹を知ってますか?芝居の紫吹と言われています。若葉劇団から独立した劇団で関東系らしいのですが関西でも大ウケです。全体的におもしろく最期にホロリとさせるパターンが多く、同じ演題で、こうも違うのかと驚きます。ではまた。一度是非観劇することをお薦めします。今度11月には八尾グランドホテルに来るので行きます。

>浪速のファン様

いつもありがとうございます。読み続けていただいて、とても嬉しいです。

劇団紫吹さんは観た事がないのですが、「芝居の紫吹」とはすごいですね!
ちょっと調べてみたらなかなか東京周辺には来ないみたいですが、2年前に埼玉に乗っているのでひょっとしたら来ることもあるかも…?
覚えておきます。

大阪は大衆演劇が観られる場所が多くてすばらしいですね。
来月の八尾グラ、楽しまれてくださいね!

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