劇団KAZUMAお芝居「三羽鴉」

2013.10.7 夜の部@篠原演芸場

ついこの前までやくざだったけど、堅気の孝行息子に戻ったばかり。
そんな素性の徳太郎を、将さんが演じるのが好きだ!

写真・柚姫将さん(当日舞踊ショーより)


「三羽鴉」も、懐かしの昨年9月・松代ロイヤルホテル以来のお芝居。
喜劇というか、人情劇というか。
人情噺をベースに、くすくす笑える感じのユーモアが色々散りばめられている。

話は、やくざの徳太郎が堅気になる覚悟を決めて、実家に戻るところから始まる。
帰れば、年老いた父親(龍美佑馬さん)の大目玉、続く涙の再会。
幼馴染のおきみちゃん(霞ゆうかさん)に、
「おきみちゃん、俺も飯つくるの手伝うよ!」
なんて、柔らかな声でのどかな発言をしていたのに。

平和な家に現れる影。
地元の蝮一家からの使いで、白梅の長太郎(華原涼さん)が、借金を取り立てに来たのだ。
当惑する父親を庇い、徳太郎が割って入る。
「待っておくんなせえ…」
ここで剋目。
数日前までの同業者を前に、徳太郎のやくざモードが復活している!
「どうでしょう、ここはいったん退いちゃあもらえませんか」
「金を持って、そちらさんまで必ず参ります」
さっきまでと全く違う、場を収める声の低さ、冷たさ。

でも長太郎が去った後、父親に向ける顔はまた、孝行息子の優面に戻っている。
「心配いらねえや、ちょっと出掛けてくるよ」

そう、将さん演じる徳太郎の面白いところは、息子モードとやくざモードがくるくる入れ替わる点だ。
将さんの演技の“黒と白の振り幅”については、再三語って来た。
それはたとえば、「若き日の石松」のしんがりの又八親分みたいに、大らかな印象の親分さん(白)が、何かの要を皮切りに、冷酷な顔(黒)に変わるスイッチングパターン。
または、「男の人生」の二代目親分みたいに、気弱だった二代目(白)が、周囲に段々毒されて残酷な面(黒)を強めていくクレッシェンドパターン。

でも「三羽鴉」の徳太郎は、一瞬で翻って黒になったり白になったり、せわしない。
実家では、父親を安心させようと持ち金五両を見せて、
「これでなんとかなるかもしれねえ、とっつぁん、安心してくれ」
と朗らかに笑った次の場面。
蝮一家に五両を持って来て、座った眼差しで凜と膝を突き、
「どうぞ、借りた金でござんす。お納めください」
影を含んだ渡世人の声が響く。
さしずめ、オセロパターンとでも申せましょうか。

さらに、蝮の親分(美影愛さん)が、「貸した金は五十両だ」ととんでもない利子をゆずらないものだから、徳太郎の堪忍の尾はあっさり切れる。
「そうかいそうかい、何が親分だ、てめえ」
「立派なやくざの親分さんてのは、仁・義・礼・智・信、五つを腹に収めてこそじゃねえのかい」
こんな風にやくざモードに徳太郎の短気がプラスされると、ちょっと舌を巻いてドスがきいて、また別の黒色。

それから涼さん演じる、白梅の長太郎も面白いキャラクターだと思う。

写真・華原涼さん(当日ミニショーより)


長太郎は、たまたま蝮一家に草鞋を脱いでいた旅鴉だ。
男前で凄腕で、かつやることなすこと粋という設定。
「どなた様もお控えなすって!」
と、長太郎が蝮の親分の前でした挨拶があんまり粋で格好良かったものだから、親分がそれを真似するという笑いどころがある。
お芝居における格好いい男の手本みたいな涼さんが演じるものだから、なおさらおかしい。

“格好よすぎるのが逆に笑いを呼ぶ”という、パラドックスの造形って、あんまり大衆演劇では見ないような?
(ちなみに昨年9月に観たときは長太郎役が冴刃竜也さんだった。こちらも、竜也さんの飄々とした雰囲気が合ってとても良かった)。

「三羽鴉」は派手なお芝居じゃないけど、だからこそきらりと光る役者さんたちの個人芸。

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