【SPICE】大衆演劇の入り口から[其之拾九] 退団直前インタビュー! 恋川心哉さんの語る「心・笑顔・感謝」(桐龍座恋川劇団)

彼が踊っている。
彼が客席に飛び込んでくる。
すると、お客さんがなんだか元気になるのがわかる。
「心哉ー!」
この沸き方は、王子様のパワー!

恋川心哉さんは、11月の千秋楽で恋川劇団を退団される。
お芝居のこと、ダンスのこと、来年の旗揚げのことなど、お話を聞かせていただきました!

【SPICE】大衆演劇の入り口から[其之拾九] 退団直前インタビュー! 恋川心哉さんの語る「心・笑顔・感謝」(桐龍座恋川劇団)

(2016/11/16)


――「心哉さんはとにかく優しい」「丁寧」って、人柄についての評判をよく耳にします。

心 そうなんですかね~…多分、みんな騙されてると思いますけどね…(笑) 

――いえいえ(笑)

心 よくお客さんに言うんですよ。「いや、そうやって男に騙されたらあかんで」って。今日も送り出しで話しましたね。お客さんが「神対応や~」とかって言うから、「いや、そう思ってるその気持ちがすごく良いことで、俺がすごいわけやない。多分それ、騙されてるで」って(笑) 

――ブログには、好きな言葉も書いていらっしゃいましたね。

心 「心」と「笑顔」と「感謝」。そこはほんとに思ってますね。

――人生の師匠的な、影響を受けられた人がいるんですか?

心 神戸のほうの、自分を応援してくれてるお客さんなんですけど。その人は、たとえ何があっても、人を嫌な目で見ない。自分が何を言われても、絶対争わない。ずっと笑顔でいると、良いことが絶対あるからって。その人が言ってた言葉が、心と笑顔と感謝があれば…っていうことだったんです。それを聞いたときに、僕もほんとに素晴らしいことやなって思って。自分の教訓にしてます。

⇒全編はこちら!(SPICEサイトに飛びます)

Twitterで仲良くしていただいている、心哉さんファンの方がいる。彼女の愛にあふれたブログや写真を見ていたら、心哉さんの人間的な魅力や、サービス精神の大きさが少しずつわかってきた。
先月、東京公演が始まってから、「もう恋川としての心哉さんは最後だから!」と足繁く劇場に通う人が、どうしてこんなに多いのかも。

個人舞踊で篠原演芸場の花道を駆け抜けていく、その身体から、“お客さんを喜ばせる存在でありたい”という精神がまっすぐに弾けているようだ。
お客さんの笑顔が力、声援が力、どうか楽しんで帰ってほしい!
そんな役者としての在り方が。

余談。
記事製作中、インタビューの録音を書き起こしていると。
「~でしょうか?」「そうですね、それは…」
「~と伺いました」「はい、…」
という、きっちりしたテンポの受け答えが続くことに気づいた。
あ、一つ一つ質問の語尾まできちんと聞き終えてから、答えられているんだ…。
つくづく丁寧な方だなぁ…。

その中で。
「EXILE、本当にお好き「大好きです!」
ここは早かった…!(笑)

近い将来、「劇団心」の座員さんたちが成長した頃には、座長を筆頭にEXILEメドレーなんて舞踊ショーもあるかもしれない。

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【SPICE】大衆演劇の入り口から[其之参] “新時代”を開く目 二代目・恋川純座長

炎を想像する。
この瞳を見ていると、高く高く、燃え上がる大きな火が浮かぶ。
次の時代へと走っていく、熱のかたまり。

二代目・恋川純座長に寄せて、連載[其之参]、書かせていただきました!

【SPICE】大衆演劇の入り口から[其之参] “新時代”を開く目 二代目・恋川純座長
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桐龍座恋川 二代目・恋川純座長(2015/2/7)

わわ、吸いこまれる。こんな引力の強い瞳があるだろうか?視線が心臓までずぃーっと入って来るような感じがして、客席で動けなくなる。ぐぐ、と舞台の上の彼の視線が持ち上がれば、私の心身も一緒に持ち上がっていくみたい…。

その目は、新しい時代をつくる目だ。大衆演劇の未来を切り開いていく目だ。全国で130を超える劇団の中でも、トップクラスの人気を誇る「桐龍座恋川劇団」。率いる座長は、二代目・恋川純さん。


⇒続きはSPICEでお読みくださいませ



↑をクリックいただいたら、上から3枚目のお写真をぜひご覧ください。
友人の花浅葱さんのカメラがとらえた純さんと、息子の桜奨くんのショットが光っています。

友人たちの写真、発言、情報、そしていつも温かいSPICE編集部の心遣い…
SPICE記事はいつもながらに色んな方な助けられまくり、支えられまくりで書いております。

純さんについて思い出すのは2年前の「一本刀土俵入り」
そして今年4月、篠原演芸場での座長襲名記念公演での「翼をください」
芸達者なのに加えて、“もっともっと巧くなりたい”という思いが体中に弾けている役者さん。
…24歳だと何度言われても信じがたい。

SPICE記事では「一本刀土俵入り」に言及させていただいた。
長谷川伸×恋川純って…こう、ピタっ!と「ハマるべきものがハマった」感がありませんか?
情に厚く、強く、少し哀しく、揺らがない―
そんな人間像が、戯曲からも役者からもスルリと掬い出されて、舞台の上で結ばれる。

老獪さすら感じさせる純さんなので。
時々初代さん=お父さんと芝居で絡んでいるのを見ると、息子さんらしい可愛らしい表情が見えてなにか安心したりする…(笑)

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桐龍座恋川劇団お芝居「生きた幽霊」

2015.4.25 昼の部@篠原演芸場

しょだーい!
待ってましたっ!(心のハンチョウ)

『生きた幽霊』は初代・恋川純太夫元、大活躍のお芝居。
笑い皺をいっぱいに集めて、くしゃーっとなる丸い顔。
あまりにも滑らかなセリフ回しに、いっそクラクラきました。

初代・恋川純太夫元 当日個人舞踊『二度惚れ酒』より


恋川劇団では、初めて観たときから初代さんが最愛です。
初・恋川観劇の、2012年10月。
お芝居は『祭りの夜』だった。
初代演じる老いた父親が、江戸に嫁いだ娘を訪ねてくる話。
他人に娘が「あの奥さんは立派だねえ、きっと奥さんの親が良いんだ!」と褒められるたんび。
「はーい、はーい、私!その親は私!」
両手をぶんぶん振り回して、喜びを表現する初代の可愛らしさに撃ち抜かれてしまってから…。

こんな言い方は、生意気極まりないかも。
が、初代さんは大変に可愛い。
そして、動作・セリフの一つ一つがおかしい。
その親しみの下に編み込まれた、精緻な芸のひとすじが、『生きた幽霊』では見えた。

三浦屋の若旦那(二代目・恋川純座長)は、芸者の清香(鈴川桃子さん)に夢中。
今日も楽しくお座敷で遊んでいると、突然、三浦屋の一番番頭 (初代さん)が現れる。
「若旦那に大事なお話がありますのや。どうか人払いを」

初代と純さんが密談する場面の掛け合いがすごい。
両者ともに、まあるい体を寄せ合って、ポンポン言葉をぶつけあう。
「若旦那、今日の私は番頭ではなく、旦那様の名代として参りました。ですからお父はんの話を聞くつもりでお聞きください」
「お父はんがホンマのお父はんか…」(←まずこれに笑わされた)
「そうです、三浦屋にとっての大事な話。すなわち若旦那、あなたにとっての大事な話、よう聞きなはれ」

いかめしい顔の番頭は、テンポよく説明を始める。
「芸者というのは恐いもの。いくら口では好きと言うても、口と心の中は別物や」
「清香はそんな女やない!」
「いえいえ、そもそも“なんとか者”と付くのにロクなものはおりまへん。まず、“役者”」
(このセリフは初代の大真面目な顔がポイント(笑))

「本当にその清香という芸者が若旦那のことを好きかどうか、確かめてみるんです。一つ芝居をしましょ」
番頭の提案は、若旦那が清香に“三浦屋が倒産した”と嘘をつくというもの。
自分には一人で食べていく力もない、死ぬしかない、と清香の前で泣いて見せろと言う。

「そこで清香が、“うちも若旦那と一緒に死にます”と言ってきても、一度目は断るんや。断られても、なおかつ“うちは若旦那と死にたいんです”と言うてきたら、その心は本物ですわ。ええですか、二度目で合格です」
――ええですか、若旦那。
ひたすらに滑らかな、剣さばきならぬ舌さばき。
時々膝を叩き、畳をトントン叩きながら。
初代の体から、膨大なセリフがすべて息吹いて出てくる。

初代がポン!と膝を打って、純さんに向き直る。
「芝居がうまくいけば清香の本心がわかる、すぐに祝言や。若旦那、あんたの人生、一世一代の大芝居でっせ!」

年輪に縫いこまれた、芝居、芝居、芝居。
芸が服を着て、目の前に座っているようだった。

番頭は若旦那に、舶来物の毒薬(実はただの頭痛薬)を渡す。
薬について説明する場面は、客席全体が抱腹絶倒だったと思う。
「薬の名前を決めときましょ」
にまーっと初代独特の笑みが浮かび。
客席に向けて、どんぶらこと櫂を動かすような動作をする。
「舟を漕いで~♪」
「七つの海を越えてきた♪」
「あちらの国から♪こちらへちょっと来た♪」
「名前は長いが効き目は速い♪」
意味不明な歌(笑)
初代が実に楽しそうに歌いあげるものだから、もう笑えてきて仕方がない。

くしゃくしゃと笑み崩れる、笑い皺の中に。
ひらひら透けるのは芸の重層。
層の一枚一枚が、今も鋭く切れ上がっている。
初代が恋川劇団を旗揚げされてから、30年近くになるらしい。
ひたすら芝居して、芝居して、芝居してきた。

若い頃、もっとイキイキと体が動いたであろう頃。
初代の心身に熱量がほとばしっていた頃を、想像してみる。
きっと今の純さんみたいな?

でも、今も。
初代が舞台に姿を現すと、お客さんがワッと沸くのを肌で感じる。
贔屓目抜きで、何かこう、嬉しがっているような空気に包まれるのだ。
何十年越しの客席にたっぷり愛されて、今日も笑う。
今日も芝居。
今日も舞台。

『生きた幽霊』をはじめ、『まぬけな泥棒』とか『お家はんと坊っち』とか。
“サブタイトル=初代の大暴走”みたいな恋川劇団の芝居が大好きです。

ひょっこりと登場して。
息子を見て、若い座員さんたちを見て、客席を見る。
そして、顔全部で、体全部で笑う。
“舞台に在る”ということが何十年経っても確かに歓びであるのかと、胸を衝かれる。

しょだーい!
待ってました!

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恋川純座長 個人舞踊「翼をください」(座長襲名記念公演)

2015.4.20 夜の部@篠原演芸場

「好きな役者さんはいっぱいいるけど、本命は恋川純さん!」
知人でも、客席でたまたま話した人でも、このパターンの多いこと。
理由を尋ねると、「とにかく一生懸命にやってる」「上手くなろうっていう向上心がすごい」などなど。

関東公演のたびに、大量の新作芝居を用意してこられているそう。
私もその熱意に引っ張られて、関東に来てくれると必ず何度かは行っている。
これまで熱血青年のイメージばかりがあったけれど。
最近ふと感じたのは、むしろ彼の冷静さ。

24歳とは信じがたい、どっしりとした落ちつきのせいなのか?
(友人に聞いたところ、芝居で「俺は42歳じゃなくて24歳だ!」とウケを取っていたらしい。貫禄だけは42歳でもおかしくないと思う)
または、「あーっはっはー!」という、どこの横綱だと言わんばかりの太い笑い方のせいなのか?
(4月の篠原公演の口上で、「兄貴に振り回されっぱなしの人生ですよ、あっはっはっはー!」というのを聞いたときは、この人すごいや…と心底思った)

舞踊もそう思って観れば、クールな表情が閃く。
歌の中の人物に入りこみ、時には涙しながらも、決して演じている人物の感情に溺れない。
だから、弱々しいウェットやセンチメンタルからはかけ離れている。
「わい、今日から命がけや~!」(『王将一代・小春しぐれ(浪曲歌謡編)』)
と、顔をくしゃくしゃにして叫ぶ坂田三吉の一枚向こうで、自分自身をしっかり見つめていそうだ。

純さんの舞踊で、私が一番感動したのは2年前に観た『翼をください』。
―いま私の願いごとが かなうならば 翼がほしい―
若き二代目は腕を大きく広げ、ひたすら上を見つめていた。
当時のブログではこんな風に振り返っている。
“もっと前へ。もっと上へ。”
“芸の高みを見つめて。
強い強い眼力が、空に昇って行く。”
上昇しようとする純さんの志と、曲がぴったり重なって、ただ胸打たれた。

2015/4/20(月)、座長襲名記念公演@篠原演芸場。
『翼をください』との再会だった。

恋川純座長(4/20個人舞踊『翼をください』)


お客さんから、舞台に花束が贈られた。
純さんは花束を抱え、赤い扇子を抱え。
じっと満員の客席を眺める。
祝福を抱え、継承を抱え。
座長は、行くべき先に目をこらす。

体を斜めに傾け、踏ん張った片足だけで、回転し始める。
ぜんまい仕掛けの人形のように、純さんの斜めになった全身がおもむろに一回転すると、大きな拍手が沸いた。

―この大空に 翼をひろげ 飛んで行きたいよ―
歌詞に当てはめて、なかば睨むように上を見つめる。
芸の力、若き力、その目の力。
舞踊は客席の期待に呼応して、隙なく一つの像をつくる。
“ぐんぐん伸びていく二代目・恋川純”を、見事に叶える。

この舞踊を襲名記念公演に持ってきたということは、自分のキャラをすごく冷静に見ているのだろう。
何が今の自分の強みか、知り抜いているのだろうな。

座長襲名公演のゲストは、お兄さんの恋川純弥さんだった。
純さんの襲名記念なので控えめにされたのか、個人舞踊『無縁坂』はサラッとしていた。
軽く踊っているのに、なおうっすら残る情があった。

私が好きなお父さん(初代・恋川純さん)の舞踊もあった。
『傘ん中』は全体に飄々としていたのに、初代の掲げる傘に寂しさがまつわって、やんわりと心の根っこをつかまれた。

より長い経験と、よりしめやかな技巧。
24歳の座長のすぐ隣にあるもの。

けれど父と兄から継ぎ、今、座を背負うのは彼。
これから全てをつかんでいこうとする彼。
だからこそ『翼をください』は、見事な“恋川純”像である一方で。
像を割って、一人の人間が心身から発する叫びたりえるのかと思う。

―子供のとき 夢見たこと
今も同じ 夢に見ている―


夢、というところで、純さんは自分の胸を叩いていた。
もっと上へ、もっとすごいことを。
もっと、もっと、いくらでもこれから。
ふと演出を超えて、剥き出しの踊り手の熱が現れる。
同時に、道の先の先まで見つめきっていこうとする静かな構えが透ける。



「とにかく一生懸命」「向上心がすごい」
純さんを長年観ているファンの方は、きっとそこを感じ取ってきたんだろうな。
彼は既にとんでもない巧さだけど、どんな巧みな芸よりも。
“これから”を志す力が人を惹く。

厳しく挑むように踊っていた純さんが、終盤、片足立ちしながら。
大きく口を開けて笑った。
いつもの大笑いすら聞こえてきそうだった。
あっはっは、という底抜けに力強い笑いが。

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桐龍座恋川劇団お芝居「お家はんと坊っち」

2013.11.24 夜の部@篠原演芸場

「芝居はね、あのお父さんが出てないと、あたし物足りないのよ」
私もです!
10月、出張帰りの温泉センターで出会った方と、大衆演劇談義をする機会があった。
桐龍座恋川劇団に話が及んだ時、最も意気投合したポイント。
恋川さんちのお父さん、初代・恋川純さんのことだ。

写真 初代・恋川純さん(当日舞踊ショーより)


昨年恋川劇団を初めて見たときから、私はこの初代さんが最も贔屓だったりする。
醸し出す雰囲気からユーモラス。
特に面白いことを言ったりやったりするわけではないのに、なんか可笑しくて笑ってしまう。
たとえば、名舞台だった11/25(金)の「一本刀土俵入り」では、舟大工の役を演じていた。
「なんだあ?」
仲間に呼ばれて、船のセットの上からひょこっと初代が顔を出しただけで、会場はワッと笑う。
あの、独特の可笑しさはなんだろう?
深い笑い皺を作りながら演技する初代さんを見ていると、わけもなく楽しくなってくるのだ。

11/24(日)の夜のお芝居「お家はんと坊っち」は、大門力也さんが立てられたそう。
初めてのお芝居だったと、終演後の二代目の口上で聞いて驚いた。
初代さん=お家はんと、二代目=坊っちの絡みは、もうすっかり練り上げられたように見えたのに。

お家はんは、商家・河内家のおばあちゃん。
旦那さんを亡くした後、店を自らの手で切り盛りしてきたゆえに、守銭奴で決まり事に厳しい。
「丁稚にいい着物を着せるなんてもったいない。世間のお人に遊んでると思われますがな」
いわゆる“意地悪ばあさん”の典型のひとつだ。

でも、初代さんが白髪の鬘を被って、大仰に目玉をくりくりさせながら演じると、憎めない温かみを放つ。
…ばかりか、可愛く見えてきたりもする。
「それが河内家のし・き・た・りというものです!」
床をバシンバシンと叩きながら、口癖を繰り返すお家はんに、会場は爆笑。

そのお家はんが溺愛するのが、孫の菊太郎(二代目・恋川純さん)だ。

写真 二代目・恋川純さん(当日舞踊ショーより)

お写真で見ると、改めて、二代目が目で語る感情の量の多いこと。

菊太郎は通称菊ぼん。
まっすぐな気風のいい青年で、河内家の実質的な主人でもある。

唯一お家はんに意見できるのも菊ぼん。
女房のお広(鈴川桃子さん)が出産のために実家に帰る際、お家はんは険しい表情でこう告げる。
「お広さん、後継ぎの男の子を産めないのなら、そのときは菊ぼんとは離縁や」
女房に草履を取ってあげようとした菊ぼんにも、非難がましく言う。
「なんであんたが草履取ってあげないかんの、裸足で帰らせえ」

だが菊ぼんはきっぱりと、
「おばあちゃん、今お広は離縁されて赤の他人になりました」
「赤の他人に草履すらお出ししなくては、それこそ河内家の恥なのではないですか!」
気持ちよく決める二代目に、二代目!と声がかかった。
二代目がこういう爽快なキャラクターを演じると、強い眼光がきりりと光ってますます清々しい。

しかし、お家はんが菊ぼんにのみメロメロなのが、つくづく可愛らしいと思う。
菊ぼんに「おばあちゃん、ちょっと話したいことがあるんや」と言われれば、
「なぁに、話ってなんや」
と喜色満面で可愛い孫を見つめる。

初代さんの浮かべる喜びの表情は、ちょっとすごい。
全ての表情筋で、全ての皮膚で笑んでいる。
ニコニコ、なんて擬態語では足りない。
にっこぉ、と場の空気を喜色に塗り替える。
思わずこちらの笑いもぐいぐいと引きずり出されてしまうような、引力の強さ。

30~40年前の大衆演劇関連の本を読んでいると、「恋川純」の名前にちょくちょく出くわす。
若い頃からお芝居の上手い人気役者だったそうだ。
今、二代目はもちろん、勢いに乗っている恋川劇団の若手さんたちを見て、どんな感慨があるのだろう。

「それが河内家のし・き・た・りなんや!」
丁稚役の恋川風馬さんとイキイキと絡む初代さんは、好々爺の面差しそのものだった。
その深い深い笑顔を見つめながら、私もにんまり。

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